墓地の管理費の消滅時効

    墓地の管理費の消滅時効

    亡父母が埋葬されている寺院から、急に10年分の墓地管理料の請求書が届きました。時効はあるんですか、という相談がありました。

    墓地管理料は5年間で消滅時効が完成すると考えられます(民法169条)。そのため、少なくとも5年分は管理料を支払う必要があります。また、催告があっても6か月しか消滅時効を中断しません(民法153条)。

    では、市営の墓園などではどうかというと、市営墓園の管理費は、非強制徴収公債権でありこれも時効が5年間となっています(地方自治法236条1項)。非強制徴収公債権とは、地方税のような滞納処分ができず、債権回収のためには民事裁判をしないといけない公債権のことです。ただし、公債権は督促(地方自治法231条の3第1項)によって消滅時効が中断するので注意が必要です(地方自治法236条4項)。

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    <宗派不問のビル型納骨堂>課税適法

    <宗派不問のビル型納骨堂>課税適法

    東京都内の宗派不問のビル型納骨堂の一部に東京都が固定資産税などを課したことに対し、寺院側が「宗教活動を行う納骨堂は非課税の境内建物に当たり、課税処分は違法だ」として取り消しを求めた訴訟がありました。

    東京地裁は、寺院側の訴えを棄却し、ビル型納骨堂への固定資産税などの課税は適法だと判断しています(東京地裁平成28年5月24日判決)。
    宗派不問の納骨堂であることや他宗派の人が納骨堂に来て法要することを許しておりその際には施設使用料を徴収することが日常化していたなどの実態が重視されたようです。
    ざっくり言うと、宗教施設なら非課税ですが、宗教ビジネス施設なら課税となり、どちらの施設かはその使用実態で判断されるという訳ですね。

    この判決の後、東京都は、一等地に建っている宗派を問わないビル型納骨堂に狙いを定めている、との声があるそうです。

    @中外日報参照

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    姻族関係終了届

    姻族関係終了届が増えているそうな

    配偶者と死別した後、配偶者の親兄弟などとの姻族関係を断ち切る届出です。
    象徴的な意味合いが強い届出ですが、最近増えているそうです。
    この姻族関係終了届と同時に復氏届(旧姓に戻す)も出すことが多いようですね。

    いろんな事情があるのでしょうから一概には言えませんが、寂しい時代になったなあと感じるのも正直な気持ちです。

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    改正年金法が施行しました

    改正年金法が施行しました

    公的年金の場合は、その保険料を納めた期間が最低でも25年以上あることが条件だったのですが、改正法では10年以上、保険料を納めていれば年金がもらえるようになります。
    ただし、年金事務所での手続が必要です。この手続ができていない人がまだ大勢おられるようです。
    無年金の方、今回の法改正で年金がもらえることにならないか、ご確認下さい。

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    義指製作による元暴力団員らの社会復帰支援

    義指製作による元暴力団員らの社会復帰支援

    体の一部を復元するシリコーン製の人工ボディー(義指)で、暴力団の離脱支援をしてきた川村義肢の「工房アルテ」が、知事表彰を受けた。

    元暴力団員のためにつくった義指は330本を超える。元暴力団員らに必要なのは、まず就職活動の面接用。手は上げた時と下げた時で色が変わる。ひざの上に置いた時に自然な色に合わせる。色は赤、黄、青を組み合わせて作り、約1200色。義指だけでも10色は使う。表面は彫刻し、乾燥や肌の荒れなど皮膚の質感も再現するという。

    @毎日新聞

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    民事信託でしか出来ないこと

    民事信託でしか出来ないこと

    民事信託というものが注目を集めています。民事信託には、遺言、成年後見などの既存の制度では対応できないことが民事信託なら可能となるので、それが注目される理由です。

    【遺言では対応できないが民事信託なら対応できること】

    ①相続人に財産を相続させたいが、ただ、一度にたくさんの財産を相続させると浪費する恐れがあるので、年金のように分割で財産を相続させたい。
    ②相続人に財産を相続させたいが、相続人がまだ未熟なので、例えば相続人が一定の年齢になった時に相続させたい。
    ③後継ぎ遺贈をしたい。例えば、まずはAさんに毎月分割で財産を引き継がせるが、Aさんが亡くなったときにまだ財産が残っていたら、次はBさんに財産を継がせたい。
    ④投資不動産があるが、相続人が複数いる場合において、各相続人には賃料収入を得させるようにしたい。

    【成年後見では対応できないが民事信託なら対応できること】

    ①自分が認知症になっても、所有する財産を使った投資や投資用不動産の積極活用ができるようにしておきたい。
    ②自分が認知症になっても、相続税対策を進めておきたい。例えば、相続人への財産の承継を順次しておきたい。

    利用価値のある民事信託ですが、信託財産を預かる受託者による濫用の危険もあります。そうした場合に備えて、弁護士などを信託監督人に付けておくことも大切なことです。

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    蓮舫民進党代表の国籍問題

    蓮舫民進党代表の国籍問題

    メディアなどでしばしば報道されていますが、分かりにくいですよね。報道等によると次のような経過のようです(ここでは「1つの中国」問題には触れません)。

    1967年 蓮舫氏出生(父:台湾籍、母:日本国籍)
    蓮舫氏は台湾籍を取得(当時の国籍法では母が日本人でも日本国籍は取得できなかった)
     ↓
    1985年 国籍法改正(母が日本人でも日本国籍取得OK)
    蓮舫氏、日本国籍取得(この時点で二重国籍者となる)
     ↓
    国籍法14条は二重国籍者に対し、22歳までに外国籍か日本国籍かを選択しなければならないとの法律上の義務を定めている。日本国籍を選択するなら、外国籍を離脱して二重国籍を解消するか、日本国籍選択宣言を届け出るかのどちらかの手続をする。
     ↓
    1989年 蓮舫氏22歳に。しかし、国籍法上の義務を果たさず。
     ↓
    2004年 蓮舫氏が国会議員に当選(民主党から出馬)
    2010年 蓮舫氏が大臣に就任(民主党政権)
    2016年9月15日 民進党代表に就任(二重国籍問題が報道される)
     ↓
    2016年9月13日 台湾籍離脱
    2016年10月7日 日本国籍選択宣言の届出
    しかし、これらの根拠資料を開示せず。
     ↓
    これまでの説明が二転三転して疑義がもたれているとして、台湾籍喪失許可証や日本国籍選択宣言が記載された戸籍謄本の開示をして国籍法上の義務を果たしたことを明らかにすべきとの指摘あり。
      ↓
    2017年7月18日 蓮舫氏が根拠資料を開示。
     ↓
    法律上の観点として、2016年に国籍法上の義務を果たしたといえども、少なくとも2016年までは国籍法違反をしていた、過去の選挙において台湾籍はもっていないと述べていたはずで経歴詐称の公職選挙法違反(虚偽事項公表罪)ではないのか、との批判あり。
     ↓
    将来的な課題として、二重国籍者が首相などの閣僚に就任することをどう考えるべきか(実際に蓮舫氏は大臣経験あり)、ということを初めて世論に問いかけた、とも言えそうです。

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    無縁墳墓等の改葬手順

    無縁墳墓等の改葬手順

    無縁墳墓等とは、死亡者の縁故者がない墓などをいいます。現在、こうした無縁墳墓等が多数発生し、墓地が荒れ果てたままとなっていることがあります。
    そこで、こうした無縁墳墓等に収蔵された焼骨等を合祀墓などに移して墓地を整理する必要がでてきます。焼骨等を移すことを改葬と言いますが、この場合の改葬手順は次のように定められています。

    「官報」に掲載する。
    無縁墳墓等のところに「立札」を1年間掲示する。
    (死亡者の縁故者は名乗り出て下さいというようなもの)。
     ↓
    無縁墳墓等や立札の写真を撮影する。
    官報の写しを残しておく。
     ↓
    1年経過しても関係者が名乗り出ない。
     ↓
    無縁墳墓等に収蔵された焼骨等の改葬許可を申請する
     ↓
    許可後に合祀墓などに焼骨等を移す。

    @墓地埋葬法施行規則第3条

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    死後事務委任契約

    死後事務委任契約

    私は、お寺で住職をしています。懇意にするご婦人が私のお寺でお墓を建立されました。その上で、亡き後の葬儀や供養をしてほしいとのことで、供養料300万円をお受けしました。

    しかし、その後、そのご婦人は私に対して、供養をお願いすることができなくなったので供養料300万円を返して欲しいと述べてこられました。
    ご婦人からご事情をお聞きしたところ、ご婦人がその親族から宗教的理由で私のお寺でお墓を建立したことで責められている、とのことでした。

    私は、親族の反対でお寺のお墓に納骨ができなかったとしても、寺のお墓はお墓の別荘と考えれば良いですよ、とお話しすると、ご婦人は気持ちがすっきりしたようで、亡くなった後にはご婦人の写真を墓に納めて永代供養して欲しいと依頼されました(死後事務委任契約)。

    ご婦人が亡くなった後、跡を継いだ親族の方が、私に対して、私のお寺では供養をお願いすることはないとのことで、供養料300万円の返還を求める訴訟を提起してきたのです。
    私は、亡くなった故人(ご婦人)から死後の供養を依頼されており300万円はその供養料であるから返還する必要はないとして争いました。

    裁判所は、
    ①委任契約は、特段の合意がない限り、委任者(ご婦人)の死亡により終了するが(民法653条1号)、委任者の死亡後における事務処理を依頼する旨の委任契約(死後事務委任契約)は、委任者の死亡によっても当然に終了させない旨の合意を包含する趣旨と解される。
    ②また、死後事務委任契約においては、委任者は、自己の死亡後に契約に従って事務が履行されることを想定しているから、特段の事情のない限り、委任者の地位の承継者が委任契約を解除して終了させることを許さない合意を包含する趣旨と解することが相当である。
    と指摘した上で、ご婦人の跡を継いだ者が、死後事務委任契約を解除して供養料の返還を求めることはできないと判決してくれました。

    @東京高裁平成21年12月21日判決(判タ1328号134頁)

    つまり、死後事務委任契約は、①委任者が死亡しても当然には終了しない、②委任者の承継人は当然には死後事務委任契約を解除することはできない、ということです。

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    社会保険事務所による誤った説明と賠償責任

    社会保険事務所による誤った説明と賠償責任

    私は、夫と結婚し、2人の子供を産みました。夫は病気のために働く事が出来なくなり借金を重ねてしまいました。債権者からの追求から逃れるために協議離婚をし別で暮らすようになりましたが、離婚後も、私は夫のところへ毎日のように通って看病し、生活費や医療費などは私の給料と夫の年金収入で賄うなどし、夫婦同様の生活を送っていました。

    夫が亡くなった後、私は生活が苦しかったので、平成4年、社会保険事務所を訪問し、遺族厚生年金を受給できないかたびたび相談しました。相談の中で、私は借金の取り立てから逃れるために形だけ離婚したことや離婚後も夫婦同様の生活をしていたことを説明しました。しかし、担当職員は、私と夫とが離婚していたので遺族厚生年金は受給できないと言われました。

    平成22年、遺族年金について社会保険労務士に相談したところ、離婚していても事実上の婚姻関係にある証拠を集めることができれば遺族厚生年金を受給できる可能性があると教えて貰いました。そこで、その社会保険労務士の協力の下、平成22年に遺族厚生年金の請求をしたところ、遺族厚生年金を受給することができたのです。しかし、平成17年より前の分については、消滅時効が完成しているとのことで、年金がもらえませんでした。

    私は、社会保険事務所職員の誤った回答によって、時効消滅した年金が受給できなくなったとして、時効消滅した遺族厚生年金の合計額の賠償を求めて、国家賠償を提起したのです。

    裁判所は、
    ①相談担当職員は、相談者に対し、相談時点で聴取した情報に基づき誤った説明や回答をしてはならないという職務上の法的義務を負っており、同職員は死亡時に離婚していたので遺族厚生年金はもらえないと誤った説明を断定的にしており、これは職務上の法的義務に違反する違法行為に当たる。
    ②平成4年における年金相談の後、速やかに遺族厚生年金の支給を請求すれば、平成22年の年金支給決定のときには消滅時効が完成したために支給されなかった年金をも受給できたのであるから、時効消滅した遺族厚生年金の合計額が違法行為との相当因果関係のある損害と言える。
    と判示した上で、国に対して、時効消滅した年金支給額につきその損害(約1433万円)を賠償するよう命じてくれたのです。

    @東京地裁平成28年9月30日判決(判時2328号77頁)

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    精神障害者による放火と火災保険

    精神障害者による放火と火災保険

    精神障害を有している賃借人が、自暴自棄になり自らの賃借アパート(部屋)を放火してしまった、という事案において、その賃借の保証人をしている人から、賃借人が契約している火災保険の保険金が下りるか、という相談がありました。

    保険約款には一般的に次のような免責規定が定められています。
    「保険契約者、被保険者、これらの代理人や同居の親族が、故意または重大な過失により生じさせた損害については、保険金を支払わない」

    裁判所は「保険契約者等が精神障害に罹患しており、自由な意思決定をすることが出来ない状態で保険事故を生じさせた場合は、前記の免責規定は適用されない(保険金が下りる)」としています。
    前記免責規定は、不当な保険利用を防止するためにあるが、自由な意思決定ができない場合であれば、不当な保険利用にはならないからです。

    しかし、精神障害により自由な意思決定をすることが出来ない状態かどうかの判断はとても難しい。
    ただ、放火した者が、医療観察法による入院決定がなされたような場合であれば、免責規定の適用はなく、火災保険が下りる可能性が大きいとは思われます。

    @神戸地裁姫路支部平成26年8月20日判決(判時2259号48頁)

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    ワンセグ携帯と受信料支払義務(否定例)

    ワンセグ携帯と受信料支払義務(否定例)

    ワンセグ対応の携帯電話のみを所有し、テレビを所有していなかった男性が、NHKに対し、受信契約を締結する義務がないことの確認を求めた裁判がありました。

    放送法64条1項
    「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を『設置』した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。」

    争点は、放送法64条1項本文の「設置」には、携帯電話の「携帯」が含まれるか、仮に含まれるとしても、携帯電話は但書の「放送の受信を目的としない受信設備」に当たるか、というものでした。

    裁判所は、放送法の「設置」には、「携帯」の意味を含まないので、受信契約を締結する義務はない(受信料の支払義務はない)と判決しました。

    裁判所は、その理由として次のようなことを述べています。
    ①放送法は、受信設備を設置した者に対して、実際に視聴するか否かにかかわらず受信契約を締結する義務を負わせているから、受信料は放送の視聴に対する対価とは言えず、維持運営のために特殊法人であるNHKに徴収権を認めた特殊な負担金である。
    ②NHKは公共の福祉のために放送することを目的とした特殊法人であって、受信料の徴収権を有するNHKは国家機関に準じた性格を有している。そうすると、受信料の負担については租税法律主義(憲法84条、財政法3条)の趣旨が及ぶべきで、その負担の要件は明確であることを要する(課税要件明確主義)。
    ③放送法の「設置」が「携帯」を含むとするのは、文理解釈上、相当の無理がある。

    @さいたま地裁平成28年8月26日判決(判時2309号48頁)

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    ワンセグ携帯と受信料支払義務(肯定例)

    ワンセグ携帯と受信料支払義務(肯定例)

    ワンセグ対応の携帯電話のみを所有し、テレビを所有していなかった男性が、NHKに対し、受信料の返還を求めた裁判がありました。

    放送法64条1項
    「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を『設置』した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。」

    争点は、放送法64条1項本文の「設置」には、携帯電話の「携帯」が含まれるか、というものでした。

    裁判所は、放送法の「設置」とは、NHKの放送を受信することのできる受信設備を使用できる状態におくことをいい、「携帯」をも包含する、と判示し、受信料の返還請求を棄却しました。

    裁判所はその理由として、次のようなことを述べています。
    ①放送法は、NHKを公共的機関と位置づけ、国や広告主の影響を避け自主的な番組編集を行わせるために、NHKの運営費用を国民に公平に負担させている。そうであれば、放送法の「設置」とは、放送を受信できる受信設備を使用できる状態に置くことと解するのがその趣旨に沿う。
    ②放送法の「設置」を一定の場所に置くことと解すると、一定の場所や置くという概念が相対的であるので、受信機の移動可能性、設置場所との接着性の程度などによって契約締結義務の有無が変わりうる事態が生じかねず(ポータブルテレビなど)、国民に公平に負担させるという放送法の趣旨に照らし相当ではない。

    @水戸地裁平成29年5月25日判決(裁判所ホームページ)

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    団地自治会と自治会費の請求

    団地自治会と自治会費の請求

    自治会費に関するチラシを住民宅のドアポストに投函したところ、その住民は、自治会長宛てで自治会に加入する意思がなく、今後、自治会に関する案内、説明、自治会費の徴収行為等を行った場合は、一方的に「強要行為」とみなす旨を書面で通知した。

    これに応答して、自治会長は、自治会活動は国家が認める地域活動の組織であり、その活動資金を地域住民や地域行政が支えていること、今後も自治会費の徴収を続ける考えであり、自治会の会員が熱心に徴収を行う旨を記載した書面を渡した。

    さらに、自治会長は、自治会への加入は任意ではなく、法律や条例で加入の強制が認められるとした上で、それに従わない住民はこの団地に居住する資格がない、との書面を渡した。

    これらの事実からは、自治会への加入は任意でなく強制されているものであると告げて、自治会費の支払を請求したことが推認される。その上で、自治会長は、自治会費の支払を求め続ける旨伝えている。

    そうすると、自治会長は、自治会の職務を行うについて、自治会への加入が強制されることがないことを知りながら、あるいはこれを容易に知りうるのに、自治会への加入を強制し、自治会費の支払を請求したのであるから、その結果、住民が精神的苦痛を被ったものと認められる。

    そのため、自治会長の上記言動により精神的苦痛を受けたことが認められるので5万円の慰謝料を認めるべきである。

    @福岡地裁平成25年9月19日判決(判時2221号45頁)

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    日本ライフ協会の出資法違反事件に思う

    日本ライフ協会の出資法違反事件に思う

    高齢者の身元保証や生活支援を行う財団法人「日本ライフ協会」が無資格で現金を預かっていたとして、出資法違反(預り金禁止)で同協会の元代表理事らが逮捕された、という。具体的には、高齢者約40人から葬儀代などとして現金計約2000万円を預かった疑い、とのこと。

    出資法2条は、業として預り金をすることを禁止していますが、出資法において禁止されている「預り金」とは、
    ①「不特定多数」の者から、
    ②「金銭」を受け入れて、
    ③「元本の返還を約し」た上で、
    ④「預け主の便宜」の目的のためにそれを保管する、
    ものとされています(金融庁ガイドライン)。

    報道によると、日本ライフ協会が預かった経緯は、日本ライフ協会が高齢者が亡くなった後に執行する葬儀代などに使うために預かったというもののようですから、元本の返還を約しているわけではなく、サービス料金の前払いのようなものとして預かっているようですから、出資法違反というのはちょっと無理があるように感じます。

    もし、理屈を付けるとすれば、日本ライフ協会は、もともと葬儀代などのために使うつもりはなかったのに、葬儀代などに使う名目でお金を集めており、(葬儀代などに使うつもりがないなら)預り金を禁止する出資法の脱法行為に過ぎず、実質的には前記の「預り金」に該当する、とするしかないように思います。つまり、葬儀代などに使うつもりがないのにお金を集めた、という立件のやり方です(出資法の脱法行為との認定)。

    しかし、葬儀代などに使うつもりがなくてお金を集めたなら、単に詐欺罪などで立件すれば良い話ですし、逆に、当初は葬儀代などに使うつもりでお金を集め、その後、不正流用してしまえば業務上横領罪として立件すれば足ります。
    そういうことを考えると、日本ライフ協会の出資法違反は、別件逮捕の疑いが強いですね。

    @時事通信参照

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    父親が親権者に指定された離婚事例

    父親が親権者に指定された離婚事例

    私は妻と結婚して長女が誕生しました。結婚当時、私は国家公務員で、妻は国連職員でした。

    平成21年頃からは、互いの価値観や倫理観、経済観などの違いから激しい口論が度々ありました。平成22年5月6日、私は仕事を終えた夕方に保育所へ長女を迎えに行ったところ長女の姿はなく、自宅に戻っても妻もいませんでした。私はすぐに妻の実家に電話をしましたが、電話に出た妻の母親が、妻も長女も帰さない、と告げてきました。

    その後、私は、長女を取り戻そうと3回に渡り家庭裁判所に対して子の引渡を求める裁判を起こしましたが、いずれも却下されてしまいました。しかも、妻は、私と長女との面会交流をほとんど認めなかったのです。

    平成24年になり、今度は、妻が私に対して、離婚訴訟を提起してきました。当然のように、妻は、母親が長女の親権者になるべきだと主張し、しかも、離婚後の父子の面会交流はFPICなどの第三者機関の監視の下、月1回、2時間程度が妥当だと述べてきたのです。

    私は、仮に離婚が成立するのであれば、父親こそが長女の親権者に指定されるべきだと主張し、自分が親権者になれば、母子の面会交流につき年100日にも及ぶ「共同養育に係る計画書」を提出して、父母による共同養育の重要性を訴えました。妻がいう監視付き面会交流は、私にとっては非人道的で屈辱的なものでした。

    裁判所は、夫婦の婚姻関係が破綻したのは共にプライドの高い夫婦が衝突を繰り返した結果でいずれか一方に非があるものではない、別居してから5年以上も経過しているのにそれまで妻は6回程度しか父子の面会交流に応じていない、他方、夫は親子間の緊密な関係を重視して年間100日に及ぶ母子の面会交流計画を提示している、今の母子の関係が良好であるとしても、長女が父親と暮らすことになったとしても、長女の健全な成長を願う父が用意する環境で暮らすことになるので、長女を今の慣れ親しんだ環境から引き離しても長女の福祉に反することはない、などを指摘しました。

    その上で、裁判所は、長女が両親の愛情を受けて健全に成長することを可能にするためには、5年以上も離ればなれになっていたとしても、長女(小学2年生)の親権者として父親を指定するのが相当である、との離婚判決を下してくれたのです。

    @千葉家裁松戸支部平成28年3月29日判決(判時2309号121頁)

    父母の共同養育の重要性を訴えた父親の主張が奏功した事例と言えそうです。

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    自治会と赤い羽根共同募金

    自治会と赤い羽根共同募金

    平成18年、私が加入している自治会が、赤い羽根共同募金などへの募金に充てるために、自治会費を年間2000円増額する決議をしました。私は、募金をするかどうかは各個人が決めるべきもので、自治会が一律に会員から徴収することはおかしいと思い、裁判所に対し、自治会の決議が無効であることの確認を求める裁判を提起しました。

    裁判所は、
    ①自治会の性格から様々な価値観を有する会員が存在するのにこれを無視して会費化して一律に募金の協力を求め、その支払いを事実上強制するときには、思想信条の自由を侵害する。
    ②自治会は強制加入団体ではないものの、その活動は公共機関からの配布物の配付、災害時等の協力、清掃、防犯、文化等の各種行事など広範囲に及んでおり、地域住民が日常生活を送る上で欠かせない存在であって、会員の脱退の自由は事実上制限されている。
    ③自治会の決議に基づき募金を会費化して徴収するときは、これを納付しなければ強制的に履行させられたり、自治会からの脱退を余儀なくされる恐れもある。
    と指摘しました。

    その上で、自治会の決議は、会員に対して、募金の支払いを事実上強制しているといえ、そのような決議は、会員の思想信条の自由を侵害するものであるから、公序良俗に反し無効である、と判示してくれました。

    @大阪高等裁判所平成19年8月24日判決(判時第1992号72頁)

    この判決によると、自治会において地域の神社への寄附を募ったりすることがしばしば見受けられますが、それが事実上の強制を伴えば公序良俗に反し無効と言えます。

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    差額ベッド(特別療養環境室)の代金支払義務

    差額ベッド(特別療養環境室)の代金支払義務

    大部屋が空いていないとのことで個室に入院させられましたが、個室の差額ベッド代はやはり払わないといけませんか、という相談がありました。

    差額ベッドに関して触れている通達(保医発0624第3号)によると、差額ベッド代を請求してはいけない場合の具体例を挙げています。

    ①同意書がない場合(同意書に差額ベッド代の記載がない場合、患者側の署名がない場合、もこれに含みます)

    ②治療上の必要により個室に入院させた場合
    これは、治療上の観点から大部屋では不都合である場合です。例えば、病状が重篤であるため、感染症の危険があったり常時監視を要するなど大部屋での入院だと不都合な場合です。

    ③病棟管理の必要性等から個室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
    感染症に感染していて、他の患者への院内感染を防止するために個室に入院させる場合などです。

    では、大部屋が空いていないので個室に入院させられた場合はどうなのでしょうか。
    通達は直接的には触れていませんが、③に該当すると思われます。しかし、通達では③の「実質的に患者の選択によらない場合」に該当するか否かは医療機関において適宜判断すること、としており、医療機関にその判断を丸投げしているため、個室に入院した既成事実から患者が個室を選択した、と医療機関が主張することもあるように思われます。

    ただ、少なくとも言えることは、同意書がないときは①に該当するので、そのときは差額ベッド代を支払う必要はありません。ですから、大部屋がないということで個室に入院させられて、経済的に厳しいときは、同意書へのサインを保留するなどの対応を検討すべきだろうと思います。一般的には、個室に入った以上は、同意があると見做されるように思われますが、通達は必ず患者側の同意書への署名を必要としていて、それがなければ差額ベッド代は請求できないと明示しています。

    @参考ホームページ
    埼玉県ホームページ

    https://www.pref.saitama.lg.jp/a0702/sagaku.html

    千葉県ホームページ

    https://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/faq/491.html

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    印紙税とメールでの領収書

    印紙税とメールでの領収書

    得意先に商品を30万円で販売し、PDFで作成した領収書をメールに添付して送付しました。印紙税はかかりませんか。

    印紙税が課税される領収書は5万円以上の金額が記載されているものですが、印紙税法では、印紙税が課税される文書(課税文書)は紙の文書を指すと規定していて、電子文書は課税対象に含んでいません。そのため、メールやファックスを使って相手に渡すときには印紙税の課税はありません。

    @納税通信(第3446号)

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    住宅ローン控除

    住宅ローン控除

    自分名義で組んだローンによって家を購入し、両親と一緒に暮らしていたが、結婚して、両親とは別に暮らすようになりました。
    しかし、両親が住んでいる家のローンは今でも支払っています。こういう場合でも住宅ローン控除を使えるのでしょうか。

    残念ながら、原則として、住宅ローン控除はあくまでも自分が住んでいる家のローンである必要があり、別の家に住んでいるのであれば住宅ローン控除を受けることができません。

    もっとも、単身赴任で家を離れていても、配偶者や子供が自宅に住んでいれば住宅ローン控除を受けることが出来ます。また、転勤で住宅ローン控除を受けることが出来なくなっても、転勤が終わって再び住み始めたときは、残存期間に基づいて住宅ローン控除を受けることができます。

    住宅ローン控除はよく利用されている制度ですから、よく理解しておきましょう。

    @納税通信(第3442号)

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    扶養親族の収入ライン「103万円」

    扶養親族の収入ライン「103万円」

    この103万円というのは、所得税の基礎控除38万円と給与所得控除65万円の合計額です。
    基礎控除はすべての人が差し引ける所得控除で、給与所得控除は必要経費として差し引けるものでその最低金額が65万円です。

    これらを越える収入を得たときに、扶養家族から外れます。103万円以下の収入であれば所得税はかかりません(これを越える収入があっても他に控除があれば所得税はかかりませんが)。

    @納税通信(第3435号)参照

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    花火大会への協賛金

    花火大会への協賛金

    花火大会などのイベントへの協賛金は、損金算入額に限度がある「寄付金」として処理するのが原則です。
    しかし、花火の打ち上げとともに会社名がアナウンスされるのであれば「広告宣伝費」として経費にできます。
    また、協賛金の支出によって特別観覧席を得られる花火大会で、その特別観覧席を取引先に提供するのであれば「交際費」として処理できる。

    花火大会への協賛金といっても、いろいろですね。

    @納税通信(第3439号)

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    天皇の生前退位と贈与税

    天皇の生前退位と贈与税

    昭和天皇が崩御されたとき、今上天皇は、遺産約9億1000万円を相続し、約4億2800万円の相続税を納めたといわれている。ただ、相続税法12条が、皇室経済法7条で定める物については非課税としているので、これには課税はなされなかった。

    皇室経済法7条は「皇位とともに伝わるべき由緒ある物は、皇位とともに、皇嗣が、これを受ける」と定めている。皇位とともに伝わるべき由緒ある物は580件ほどあるそうで、その中には三種の神器も含まれているとされる。

    もし、今上天皇が生前退位をすると、皇位が皇嗣に引き継がれ、皇室経済法7条によって、皇位とともに伝わるべき由緒ある物も皇嗣に引き継がれる。これは、法律的には生前贈与となる。

    しかし、問題は、贈与税においては、相続税と異なり、「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」についての非課税規定がない。そうすると、国宝級の三種の神器をはじめ、「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」580件について、とんでもない贈与税が発生する恐れがある。

    生前退位を考えるにあたっては、こうした税金の問題も考える必要が出てきます。

    @納税通信(第3436号)参照

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    催告による利息の元本組入

    催告による利息の元本組入

    民法405条には次のような定めがあります。
    「利息の支払が1年以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる」

    この利息には、延滞利息(遅延損害金)も含まれるとされています。これは、1年以上も支払を滞るような場合は、債権者を保護するために、利息の元本組入の権利を認めたものです。この元本組入が認められると、利息部分に対する利息が重ねて発生します(重利)。通常、お金があるのに意図的に支払ってこない悪質な債務者に対する手段として使われます。

    ただ、不法行為に基づく損害賠償請求権に関して発生する遅延利息(遅延損害金)についても、この催告による利息の元本組入が認められるかが争われた事件がありましたが、後記東京高裁は、不法行為に基づく損害賠償請求権については、債務者にとって支払うべき金額が必ずしも明らかではないことなどから、民法405条による利息の元本組入は認めませんでした。

    @東京高裁平成27年5月27日判決(判時第2295号65頁)

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    保険法上の介入権

    保険法上の「介入権」

    保険契約が差し押さえられ、差押債権者によって保険解約請求された場合などにおいて、保険金受取人などが所定の手続き(解約返戻金相当額を差押債権者等に支払うなど)を行うことにより、保険契約を存続させることができることを「介入権」といいます。

    これは、保険が一度解約されてしまうと、健康状態等によっては再度保険に加入することが困難であったり、保険料が高額になったりすることがあるため、保険金受取人を保護するために設けられた制度です。

    この介入権、たとえば、生命保険の保険料をすでに払い済みとなっているが、解約してしまうと微々たる解約返戻金しかないような場合、解約返戻金相当額を差押債権者に払ってしまって、保険契約を存続させるというような使い方が考えられます。

    @保険法第60~62条・第89~91条

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    皇位継承のおさらい

    皇位継承のおさらい

    どのような場合に皇位の継承がなされるかは次のとおりです。
    なお、皇位とは天皇の位の意味です。

    【憲法】(第2条)
    「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」

    【皇室典範】(第4条)
    「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」

    つまり、天皇の崩御があった場合に皇位継承があるのですね。

    ちなみに、次のような定めがあります。

    【皇室典範】(第24条)
    「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う」

    【元号法】(第2項)
    「元号は、皇位の継承があった場合に限り改める」

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    地価(一物五価)

    「地価」のおさらい(一物五価)

    土地の公的価格には「路線価」「公示地価」「基準地価」「固定資産税評価額」などがあって一物四価と言われる。これに実際の市場で取引されている「実勢価格」が加わると一物五価となる。
    要するに「地価」には5つある訳ですね。この地価をおさらいしてみます。

    ◎「公示地価」
    地価公示法に基づき、国交省が毎年3月に公表する(評価時点は1月1日)。この公示価格は、相続税路線価、固定資産税路線価の基礎となる。公共事業用地の取得価格算定の基準とされるほか、不動産鑑定士の鑑定評価などにも活用される。それぞれの地点につき、2人以上の不動産鑑定士が別々に現地を調査し、最新の取引事例や収益の見通しの分析を基に算出し、更地として評価する。公示される際は住宅地、商業地、宅地見込地、準工業地、工業地、調整区域内宅地に分類される。国交省のホームページで閲覧できる。

    ◎「路線価(相続税評価額)」
    国税庁が毎年7月1日に公表する(評価時点は毎年1月1日)。相続税や贈与税の税額計算の基準となる。路線価には相続税路線価と固定資産税路線価の2種類があるが、一般的には相続税路線価を指す。公示地価の80%を目安に評価されている。公示地価は土地そのものを対象とした評価だが、路線価は一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価している。同じ路線に面する土地の価格をまずは同じとした上で、土地の形状などに応じて個別に補正する。国税庁のホームページで閲覧できる。

    ◎「固定資産税評価額(固定資産税路線価)」
    各自治体が地方税法に基づいて決定する。固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税などを決める基準となる。公示地価の70~80%を目安に算出されている。評価が3年に1度なので不動産取引の目安には適さない。

    ◎「基準地価」
    都道府県が9月に公表する(評価時点は7月1日)。公示地価と同じように更地として評価するが、調査の主体は国ではなく都道府県である。基準地価は都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地、更に宅地ではない林地なども含んでおり、公示地価では明らかにならない場所の地価を把握できる。

    ◎「実勢価格(時価)」
    その時点での土地の売買価格。実際の取引が成立する価格。時価とも呼ばれる。取引がないような場所であれば、周辺の取引事例や公示価格などから推定する。不動産広告に掲載されている価格は、売主の希望価格であり、実勢価格とは一致しない。

    @納税通信(第3431号)

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    従業員から会社への求償

    私は、仕事中、会社所有の貨物自動車を運転中に自動車事故を起こしてしまいました。
    私は、被害者の方へ修理代として38万2299円を支払いました。

    その後、私は会社も負担すべきだとして、会社へ求償を求める裁判を提起しました。
    裁判所は、
    加害者の不法行為責任と会社の使用者責任とは不真正連帯債務であるが、会社が負う使用者責任とは会社は従業員の仕事によって事故の活動領域を拡張しているという関係に立つから(報償責任論)、従業員がその事業の執行について他人に損害を与えた場合には、従業員及び会社の損害賠償債務については自ずと負担部分が存在しており、一方が負担部分を越えて相手方に賠償したときは、その者は、自己の負担部分を越えた部分について他方に対し求償することができる、と判示しました。

    その上で、会社と従業員との負担割合を7:3とされ、私の会社に対する求償を一部認めてくれました。
    なお、従業員から会社への求償のことを「逆求償」と言いますが、これを認める明文規定がないことから論争になっています。

    @佐賀地裁平成27年9月11日判決(判時第2293号112頁)

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    使用者責任と加害者による示談

    使用者責任と加害者による示談

    従業員がその業務中に口論となり他の従業員に暴行を加えてしましました。その後、従業員同士で示談が成立したとの報告を受けていたので、会社としては安心しておりました。
    しかし、その後、被害を受けた従業員から会社に対して、示談金では足りない損害分について支払うように請求を受けました。示談が成立しているのに、会社としては対応しなくてはいけないのでしょうか、という相談がありました。

    会社の使用者責任と従業員(加害者)の不法行為責任とは、いわゆる不真正連帯債務の関係にあり、その一方の債務について和解等がされても、現実の弁済がされない限り、他方の債務については影響がない、とされています(後記最高裁判決)。

    そのため、示談金では足りない損害があれば、従業員同士で示談が成立していたとしても、会社としては使用者責任を負担します。

    @最高裁昭和45年4月21日判決(判タ第248号125頁)

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    特別養子縁組と父母の同意

    特別養子縁組と父母の同意

    私達夫婦は、医師から子供を授かるのは難しいと言われており、そのため、特別養子縁組を希望して里親の登録をしました。

    平成25年、女子中学生が望まない妊娠をして中絶も出来ず、今後、育てることもできないとのことで、私達夫婦に特別養子縁組を前提とした里親委託の話が舞い込んできました。

    女子中学生の実母が出産した後、私達が名前を命名して、実母はそれに基づいて出生届を出してくれました。出生直後から、私達夫婦がその子供を我が子のように育ててきました。そして、6か月が経過したので、家庭裁判所へ特別養子縁組の申立をしました。

    すると、実母は、家庭裁判所において、突然、特別養子縁組の同意を撤回する、と述べてきました(実父は誰なのか不明)。民法817条の6は、特別養子縁組の成立には父母の同意が必要であるが、養子となる者の利益を著しく害する事由があれば不要となるとある。

    一審は、実母の同意がないとの理由で特別養子縁組が却下となりましたが、二審は次のように述べて特別養子縁組を認めてくれました。

    実母は、学校生活が乱れており年相応の自己統制力も乏しく、子供を適切に監護するのは困難といえ、子供を現在の安定した環境から引き離して、児童養護施設等を経て実母へ子供を引き渡すことは、そのこと自体が子供の福祉にとって重大な影響を及ぼす上、実母が子供との円満な親子関係を築くのは困難である。子供を実母の監護のもとにおくことは、子供の福祉の観点から著しく不当であり、その健全な成長の著しい妨げとなる。
    よって、実母の同意がなくても特別養子縁組の成立を認めるべきである。

    @名古屋高裁平成27年2月27日決定(未公刊)

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    <ふるさと納税>総務省が返礼品の自粛要請

    <ふるさと納税>総務省が返礼品の自粛要請

    平成28年4月1日、総務省は全国の自治体に対し「金銭類似性の高いもの」「資産性の高いもの」を返礼品にすることを控えるよう要請する通知を出した(平成28年4月1日付総税企第37号)。

    通知には、「金銭類似性の高いもの」の品目としてプリペイドカード、商品券、電子マネーなど、「資産性の高いもの」の品目として家電、パソコンなどの電子機器、貴金属、自転車、ゴルフ用品などが列挙されている。

    通知はあくまで要請であり法的拘束力はないが、返礼品の見直しにつながるのは明らかと考えられている。こうした通知には、地元産業の農産物は良くて、同じ地元産業として生産工場があるゴルフ用品や電子機器、自転車などはどうしてダメなのか、という意見も根強いとされている。

    なかなか難しい問題ですが、何を返礼品にするかは地元の利権につながりかねない問題ですから、各自治体の議会できちんと審議した上で返礼品目を選定するなど、選定プロセスを透明化させることがまずは大事なように思います。

    @納税通信(第3422号)

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    固定資産税の過大徴収の代表例(埼玉県新座市)

    固定資産税の過大徴収の代表例(埼玉県新座市)

    ある夫婦が、新しく土地を購入し、ローンを組んで自宅を新築した。土地に住宅を立てた場合、土地の固定資産税が最大6分の1で計算されるが、新座市は、27年もの間、更地の状態として高額の固定資産税を徴収し続けていた。

    ローンの支払もあり、税金も割高に請求されてたこともあって、滞納しがちであった。新座市は、年老いた夫婦の土地を、銀行ローンが完済したとたんに差押え、公売にかけ、不動産業者に売り飛ばした。

    住宅を購入した不動産業者が、固定資産税が高すぎるのではないか、と税務課に調査を依頼したことから、過大徴収事件が明らかとなった。

    新座市が誤りに気づいたときには、年老いた夫婦はマイホームから追い出され、アパートに引っ越してしまった後であった。

    更地であるか、自宅が建っているかの判断は、小学生でもできる。地方税法408条には、課税対象物件は1年に1回現地を見なさいとなっているが、税務課の職員は27年間誰1人としてこの決まりを守らず、間違った高額の税金を請求し続けた。それだけでなく、延滞した税額には、サラ金のように14.6%もの高額な延滞利息をつけて、請求し続けていたのである。

    その後、新座市は、市内の全物件の調査を行い、最終的に、2,849件もの過大徴収があったと判明し、過大徴収額は7億5000万円を越えたのであった。

    @納税通信(第3420号)

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    <東京地裁>同じ業務で定年後再雇用・賃金差別は違法

    <東京地裁>同じ業務で定年後再雇用・賃金差別は違法

    横浜市の運送会社に勤めるトラック運転手の男性3人が、定年後に再雇用された後、業務内容が全く同じなのに賃金が下がったのは「正社員と非正社員の不合理な差別を禁じた労働契約法に違反する」として、定年前の賃金規定を適用するよう求めた訴訟の判決が、東京地裁であった。

    東京地裁は、再雇用後の賃金規定は同法に違反すると認めたうえ、元の賃金規定を適用するよう会社に命じる運転手側勝訴の判決を言い渡した。

    @朝日新聞

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    外れ馬券は経費になるか(個別予想事案)

    外れ馬券は経費になるか(個別予想事案)

    競馬の外れ馬券の購入費を経費と認めず、6年間で所得税など約1億9400万円を追徴課税したのは違法だとして、北海道の男性が国に課税処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が4月21日、東京高裁であった。

    東京高裁は、訴えを退けた一審東京地裁判決を取り消し、男性側の逆転勝訴を言い渡した。
     
    外れ馬券購入費の経費算入をめぐっては、最高裁が昨年3月、「購入期間や回数、頻度などを総合考慮して判断する」との基準を示し、コンピューターの自動購入ソフトを使っていたケースで算入を認めていた。

    今回の男性について、一審は「レースごとに個別に予想しており、機械的に購入していたとまでは言えない」として請求を棄却したが、東京高裁は「独自のノウハウを基に多額の利益を恒常的に上げていた」と指摘。一連の馬券購入は一体の経済活動で、最高裁のケースと買い方に本質的な違いはないとして経費算入を認めた。

    判決によると、男性は2010年までの6年間に総額約72億7000万円の馬券を購入、約5億7000万円の利益を上げたという。

    @時事通信社

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    被災ローン減免制度

    被災ローン減免制度

    熊本や大分で相次いでいる地震では、多くの住宅が被害を受けています。家が壊れたのに、住宅ローンだけが残ってしまい、この先どうしたらいいのかといった相談も、相談窓口に寄せられています。こうした方が、住宅を再建する際に、二重のローンの負担に苦しむことがないよう、一定の要件を満たした場合、今、抱えているローンを免除したり減額したりできる新しい制度の運用が、平成28年4月から始まりました。

    この制度が適切に運用されるように育つかどうか、熊本地震が試金石となります。多くの方に周知されるとともに、関係者の努力に期待しています。

    @NHK時論公論

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    フルパッケージ型遺言

    フルパッケージ型遺言

    フルパッケージ型遺言とは、私が勝手に名付けたものですが、これは、遺言者が、弁護士である第三者に、相続分や分割方法の指定を「委託」する遺言を言います。つまり、どの相続人にどの遺産を相続させるかを弁護士に委託するというものです。

    例えば、遺言者は一人暮らしをしていますが、自分で自分のことができなくなったときに、子供らのうち誰が自分の面倒を見てくれるか今は分からないが、将来、自分の面倒を看てくれた子供に財産を多く相続させたいという気持ちがあるとします。でも、そういう事態になったときにはもしかしたらもう遺言を作ることができない状態かも知れません。

    また、遺言者にはすでに認知症の妻がいて今は遺言者が監護していますが、遺言者が亡くなった後、どの子供が妻の面倒見てくれるか分からない、面倒見てくれることになった子供に財産を多くあげたい。今はどの子供がそうしてくれるか分からないが、遺言者自身も病弱でいつ倒れるか分からないということもあるでしょう。

    そこで、遺言書において、第三者である弁護士に、相続分や分割方法の指定を「委託」し、かつ、遺言執行者に指定しておくのです。そうすると、遺言者が亡くなった後、弁護士が遺言者の意思に沿うように、相続分や分割方法の指定を行い(誰にどの財産を与えるかを決める)、かつ、それを実現するのです。

    これは、弁護士を全面的に信用していただいて、まさに遺言者に成り代わって、相続をすべて取り仕切るという遺言です。
    私は、この遺言をフルパッケージ型遺言と名付けていますが、こうした遺言もできます。フルパッケージ型遺言の場合、弁護士の責任は重大ですが、相続分や分割方法の指定に際しては、相続人やその他の関係者から事情を聴取するなどして、遺言者の意思に沿うように慎重に判断します。

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    国税への不服申立手続

    国税への不服申立手続

    国税当局の処分に不服があるときに行う審査請求の手続が平成28年4月1日から変わります。
    国税についての不服申立は国税通則法に基づきますが(行政不服審査法ではありません)、これまでは、国税局や税務署に再調査を請求した後でないと、原則として国税不服審判所に審査請求することはできませんでした。
    しかし、今後は、最初から、国税不服審判所へ直接審査請求をすることが可能になりました。

    また、再調査請求や直接審査請求できる期間は、国税当局の処分を知った時から3か月以内と延長されました。
    その他、今後は、国税不服審判所が国税当局に提出させた書類につき、閲覧や写しの交付も請求することができるようになりました。

    @納税通信(第3416号)参照

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    グーグル検索と忘れられる権利

    グーグル検索と忘れられる権利

    私は、3年ほど前に、女子高生に対する児童買春の罪で逮捕され、50万円の罰金を受けたことがありました。しかし、今でも、私の名前を検索すると、この逮捕歴が検索結果に表示されてしまいます。そこで、私は、グーグルに対して、検索結果を削除するよう裁判を提訴しました。

    すると、裁判所は、
    ①一度は逮捕歴を報道され社会に知られてしまった犯罪者といえども、人格権として私生活を尊重されるべき権利があり、更生を妨げられない利益をもっているから、犯罪の性質等にもよるが、ある程度の期間が経過した後は過去の犯罪を社会から「忘れられる権利」がある、
    ②罰金刑に処せられて罪を償ってから3年あまり経過した過去の児童買春の逮捕歴がネットで簡単に閲覧されてしまうことは、検索エンジンの公益性を考慮しても、更生を妨げられない利益が社会生活において受忍すべき限度を超えて侵害されている、
    と判断してくれました。
    その上で、グーグルに対し、検索結果を削除するように命じてくれました。

    @さいたま地裁平成27年12月22日決定(判時第2282号78頁)

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    <最高裁>認知症事故の家族の責任否定

    <最高裁>認知症事故の家族の責任否定

    認知症の男性患者が徘徊中に電車にはねられ死亡した事故をめぐり、家族が鉄道会社への賠償責任を負うかどうかが争われた訴訟で、最高裁は、家族に責任がないとして鉄道会社の賠償請求を棄却した、という。

    世論はこの最高裁判決を好意的に見ているようですが、しかし、最高裁は次のようにも述べています。

    「認知症患者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けて監督を現に行い監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,賠償責任を負う」

    つまり、認知症患者が他者へ損害を加えることを防止することまでも含めて介護を引き受けた人一倍の親孝行者については、賠償責任を負う可能性がある、と言うことです。介護を頑張れば頑張るほど、責任も増す、ということになります。

    この最高裁判決を読んで、次のことを思い出しました。
    ある介護施設長さんは言っていました。
    入居者のリハビリを本当に頑張って要介護度が改善すると、国からいただけるお金が減って経営がきつくなる、他方、リハビリをせずに入居者をほったらかしにして入居者の要介護度が進行すれば、たくさん国からお金をいただけて経営が良くなる。
    つまり、介護施設は、入居者の能力回復をするように努力しない方が、経営上は助かるのです、寝たきりのまま放置するのが一番金になる、おかしくないか、と。

    親への介護、介護施設による介護、頑張る人が報われない世の中になっていないだろうか。法律に不備はないだろうか。
    そんなことを改めて考えさせられた最高裁判決でした。

    @最高裁平成28年3月1日判決

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    農地中間管理機構(農地バンク)

    農地中間管理機構(農地バンク)

    平成27年12月に決定した2016年度税制改正大綱では、農地中間管理機構(農地バンク)を介して農地を長期間貸し出したときには、固定資産税を優遇する措置が創設される予定となっています。
    逆に、遊休農地を放置したままにすると、耕作地として再生できると農地バンクが判断した遊休農地については、固定資産税を現在の1.8倍に引き上げるという。

    「貸せば減税、貸さねば増税」という措置で、これによって、農地を集約させて国内農業の生産力を向上させTPPに備えようというものです。

    私は、相続財産管理人(相続人が誰もいないケース等で家裁によって選任されるもので、遺産を現金化して国庫への帰属を進めたりする)をしたりしますが、農地や山林は売却先を探すのに本当に苦労します。
    農地バンクでは、今のところ、貸し手と借り手の斡旋だけをしているようですが、売買の斡旋もしてくれないだろうかと思っています。農地や山林の流動性を高めないと、国土が荒れていく気がします。

    @納税通信(第3408号)参照

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    <バスケWリーグ・シャンソン>主審を提訴

    <バスケWリーグ・シャンソン>主審を提訴

    平成27年11月に愛知県豊橋市で開かれたバスケットボール女子Wリーグ公式戦のシャンソンvsデンソー戦で「審判が意図的にシャンソンに不利益な判定を行った」などとして、チームを保有するシャンソン化粧品が試合で主審を務めた審判員を相手に、3千万円の損害賠償と謝罪広告掲載を求める訴訟を静岡地裁に起こしたという。

    関係者によると、シャンソンは昨年11月29日、愛知県豊橋市でデンソーと対戦した。同点で迎えた試合終了間際、シャンソンの攻撃中に副審がいったん、デンソー側に累積五つ目になるファウルを宣言した。シャンソン側がフリースローを行おうとしたところ「主審が一転して判定を覆し、同点のまま延長戦にした。シャンソン側の抗議を無視し、同社の社会的評価を低下させた」としている。

    なんと、スポーツの審判結果についての紛議が裁判所に持ち込まれるとは。シャンソンの名誉を毀損したという名誉毀損訴訟という法律構成をしているようですね。
    これまで考えられないような裁判が出現する世の中になっておりますね。

    @静岡新聞社より  

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    アイドル交際禁止「行き過ぎ」会社側敗訴

    アイドル交際禁止「行き過ぎ」会社側敗訴

    アイドルグループの一員だった女性がファンとの交際を禁じた規約に違反したとして、東京都港区のマネジメント会社が、女性と交際相手の男性らに約990万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が平成28年1月18日、東京地裁であった。
    東京地裁は「異性との交際は幸福を追求する自由の一つで、アイドルの特殊性を考慮しても禁止は行き過ぎだ」と述べ、会社の請求を棄却した。

    判決は、「ファンはアイドルに清廉性を求めるため、交際禁止はマネジメント側の立場では一定の合理性はある」と理解を示す一方で、「異性との交際は人生を自分らしく豊かに生きる自己決定権そのものだ」と指摘。損害賠償が認められるのは、アイドルが会社に損害を与える目的で故意に公表した場合などに限られる、と判断したという。

    @朝日新聞より 

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    体育祭の騎馬戦での重大事故

    体育祭の騎馬戦での重大事故

    福岡県立高校の体育祭で騎馬戦が行われ、騎手をしていた生徒が騎馬戦において落馬し、第七頚椎以下完全麻痺の後遺障害を負いました。そこで、福岡県に対し賠償請求訴訟が提起されました。

    裁判所は、
    ①騎馬戦は騎手の落馬や騎馬の崩落の蓋然性が高く、しかも、体育祭などでし行われない競技であるのに、
    ②実践形式での予行演習をするなどして生徒への安全確保を講ずるべきであったが、それがなされておらず、
    ③騎手が落下した場合に備えて、対戦する騎馬一組に対して複数の審判員を配置すべきであったが、それもなされなかった。
    などと指摘し、

    その上で、裁判所は福岡県に対し、約2億円の賠償を命じる判決を下しました。

    @福岡地裁平成27年3月3日判決(判時第2271号100頁)

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    またまた固定資産税の徴収ミス

    平成27年11月、埼玉県ふじみ野市は、市内の土地の95件で固定資産税等の過徴収があったことを公表しました。過徴収の返還額は約2800万円になる見通しとのこと。個人では350万円、法人では1350万円もの還付をする事案も含まれているという。

    全国で相次ぐ固定資産税の徴収ミスを受けて、同市では市内の不動産を全件調査しており、まだ調査が2割しか終わっていない段階で、これだけの徴収ミスが発覚しました。
    今後も、過徴収が見つかるのはほぼ確実と見られ、同市では還付金として1億1570万円ほどを見込んでいるという。

    全件調査が終了する前から、全件調査が終了した場合の過徴収の額を見込んでいる状況に言葉が出ませんね。

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    大逆事件を知っていますか

    大逆事件を知っていますか

    明治43年、天皇の殺害を計画したとして幸徳秋水らが大逆罪(皇室危害罪・昭和22年廃止)で大審院(最高裁)に起訴されました。大逆罪は、大審院で審理され、かつ、終審となっており、刑罰も死刑のみです。

    大審院は、審理を非公開とし証人申請をすべて却下した上、わずか1か月ほどの審理で幸徳秋水ら24名について大逆罪にあたるとして死刑判決を言い渡した。
    死刑判決を受けた24名のうち12名は特赦により無期懲役刑となったが、幸徳秋水を含む残り12名については、死刑判決からわずか6日後に11名、その翌日に1名の死刑の執行が行われたという事件です。

    戦後、多数の関係資料が発見され、そうした資料により、社会主義者、無政府主義者、その同調者、さらには自由・平等・博愛といった人権思想を根絶するために当時の政府が主導して捏造した冤罪事件であったといわれています。
    日本の刑事裁判の暗黒史とも言われていて、死刑廃止論者の中にはこの大逆事件を指摘される方もいるようです。

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    宴会での飲酒と労災

    宴会での飲酒と労災

    中国出張のときに開催された現地の中国役人との親睦を図る宴会において、アルコールを大量摂取し、その後、就寝中に嘔吐して、嘔吐物を気管に逆流したことにより窒息死したとして、労災に該当するかが争われた事案がありました。

    労働基準監督署は、労働者は宴会で飲酒を強要されてはいなかった、大量のアルコール摂取行為は労働者の積極的な私的行為であるから業務起因性はない、として労災には当たらないと判断しました。

    その後、訴訟が提起されましたが、裁判所は、

    ①宴会は、仕事上の許認可権をもつ中国役人との親睦を深めることのできる絶好の機会であるため、中国人の気分を害さず、また、好印象をもってもらうため、勧められるまま乾杯に応じざるを得なかった。
    ②中国の宴会では、注がれた酒を飲まないと失礼な行為であるとみられる傾向がある。

    との指摘をした上で、
    乾杯に伴う飲酒は業務の遂行に必要不可欠であるといえ、労働者が業務上死亡したものと言えるとして、労災を認めました。

    @東京地裁平成26年3月19日判決(判時2267号121頁)

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    AV出演拒否した女性への違約金請求を棄却

    AV出演拒否した女性への違約金請求を棄却

    アダルトビデオ(AV)への出演を拒否した女性が、プロダクション会社から「契約違反」として2460万円の違約金などを請求された訴訟がありました。
    平成27年9月9日、東京地裁は「(AV出演は)本人の意に反して強要できない性質の仕事だ」として、会社側の請求を棄却する判決を出しました。

    女性の代理人弁護士は「高額の違約金で脅され、AV出演を強要される事例は多い。重大な人権侵害だ」としている。

    @朝日新聞より

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    最高裁・調停成立後でも過払い金請求可能

    最高裁・調停成立後でも過払い金請求可能

    裁判所で調停が成立したあとも消費者金融に払いすぎた利息を返すよう求めることができるかどうかが争われた裁判で、最高裁判所は「調停が成立していても、いわゆる過払い金の請求は可能だ」という初めての判断を示し、借り手側に有利な判決を言い渡しました。

    @NHKニュース

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    飼犬が第三者に損害を与えたら

    飼犬が第三者に損害を与えたら

    ときどき、自分の家の飼犬が、散歩中やドッグランなどで他人の犬を噛んで怪我をさせたとか、場合によっては人に噛みついて怪我をさせた、という相談があります。

    こういう場合は、まずは、個人賠償保険に入っていないかを聞くわけですが、この保険に入っていることが分かると皆さんほっとされますね。やはり、個人賠償保険に加入しておく必要性を痛感します。
    犬を飼っている方は、保険に加入することを検討してみて下さい。

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    医療事故調査制度が10月1日スタート

    医療事故調査制度が10月1日スタート

    医療事故調査制度は、平成26年6月18日に成立した、医療法の改正に盛り込まれた制度です。制度施行は平成27年10月1日です。

    医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が収集・分析することで再発防止につなげるための医療事故に係る調査の仕組み等を、医療法に位置づけ、医療の安全を確保するものです。

    医療事故の防止及び医療事故被害者の救済に役立つか、制度がどのように運用されるか注目しています。

    @厚生労働省より  

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