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社会保険事務所による誤った説明と賠償責任

社会保険事務所による誤った説明と賠償責任

私は、夫と結婚し、2人の子供を産みました。夫は病気のために働く事が出来なくなり借金を重ねてしまいました。債権者からの追求から逃れるために協議離婚をし別で暮らすようになりましたが、離婚後も、私は夫のところへ毎日のように通って看病し、生活費や医療費などは私の給料と夫の年金収入で賄うなどし、夫婦同様の生活を送っていました。

夫が亡くなった後、私は生活が苦しかったので、平成4年、社会保険事務所を訪問し、遺族厚生年金を受給できないかたびたび相談しました。相談の中で、私は借金の取り立てから逃れるために形だけ離婚したことや離婚後も夫婦同様の生活をしていたことを説明しました。しかし、担当職員は、私と夫とが離婚していたので遺族厚生年金は受給できないと言われました。

平成22年、遺族年金について社会保険労務士に相談したところ、離婚していても事実上の婚姻関係にある証拠を集めることができれば遺族厚生年金を受給できる可能性があると教えて貰いました。そこで、その社会保険労務士の協力の下、平成22年に遺族厚生年金の請求をしたところ、遺族厚生年金を受給することができたのです。しかし、平成17年より前の分については、消滅時効が完成しているとのことで、年金がもらえませんでした。

私は、社会保険事務所職員の誤った回答によって、時効消滅した年金が受給できなくなったとして、時効消滅した遺族厚生年金の合計額の賠償を求めて、国家賠償を提起したのです。

裁判所は、
①相談担当職員は、相談者に対し、相談時点で聴取した情報に基づき誤った説明や回答をしてはならないという職務上の法的義務を負っており、同職員は死亡時に離婚していたので遺族厚生年金はもらえないと誤った説明を断定的にしており、これは職務上の法的義務に違反する違法行為に当たる。
②平成4年における年金相談の後、速やかに遺族厚生年金の支給を請求すれば、平成22年の年金支給決定のときには消滅時効が完成したために支給されなかった年金をも受給できたのであるから、時効消滅した遺族厚生年金の合計額が違法行為との相当因果関係のある損害と言える。
と判示した上で、国に対して、時効消滅した年金支給額につきその損害(約1433万円)を賠償するよう命じてくれたのです。

@東京地裁平成28年9月30日判決(判時2328号77頁)

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