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死後事務委任契約

死後事務委任契約

私は、お寺で住職をしています。懇意にするご婦人が私のお寺でお墓を建立されました。その上で、亡き後の葬儀や供養をしてほしいとのことで、供養料300万円をお受けしました。

しかし、その後、そのご婦人は私に対して、供養をお願いすることができなくなったので供養料300万円を返して欲しいと述べてこられました。
ご婦人からご事情をお聞きしたところ、ご婦人がその親族から宗教的理由で私のお寺でお墓を建立したことで責められている、とのことでした。

私は、親族の反対でお寺のお墓に納骨ができなかったとしても、寺のお墓はお墓の別荘と考えれば良いですよ、とお話しすると、ご婦人は気持ちがすっきりしたようで、亡くなった後にはご婦人の写真を墓に納めて永代供養して欲しいと依頼されました(死後事務委任契約)。

ご婦人が亡くなった後、跡を継いだ親族の方が、私に対して、私のお寺では供養をお願いすることはないとのことで、供養料300万円の返還を求める訴訟を提起してきたのです。
私は、亡くなった故人(ご婦人)から死後の供養を依頼されており300万円はその供養料であるから返還する必要はないとして争いました。

裁判所は、
①委任契約は、特段の合意がない限り、委任者(ご婦人)の死亡により終了するが(民法653条1号)、委任者の死亡後における事務処理を依頼する旨の委任契約(死後事務委任契約)は、委任者の死亡によっても当然に終了させない旨の合意を包含する趣旨と解される。
②また、死後事務委任契約においては、委任者は、自己の死亡後に契約に従って事務が履行されることを想定しているから、特段の事情のない限り、委任者の地位の承継者が委任契約を解除して終了させることを許さない合意を包含する趣旨と解することが相当である。
と指摘した上で、ご婦人の跡を継いだ者が、死後事務委任契約を解除して供養料の返還を求めることはできないと判決してくれました。

@東京高裁平成21年12月21日判決(判タ1328号134頁)

つまり、死後事務委任契約は、①委任者が死亡しても当然には終了しない、②委任者の承継人は当然には死後事務委任契約を解除することはできない、ということです。

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