名古屋・岐阜・岡崎の弁護士が 無効について法律相談

転職禁止を従業員と契約すると?

転職を禁止する合意はどうなのか?

勤務先が退職後に同業他社に転職を禁止する書面の作成を求めることがあります。専門的には、競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)の合意書といいます。

人材派遣会社の従業員がこの競業避止義務(禁止期間は3年間)の合意をして、派遣先で働いていたところ、約1年後、退職して他の人材派遣会社に転職し、同じ派遣先で勤務したことが裁判となった事例があります。

裁判所は、この事案では、勤続期間1年と対比して競業避止期間3年は非常に長い等の種々の理由を述べて、競業避止の合意を無効と判断しました(東京地裁平成27年10月30日判決)。

事例としては参考になります。

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非弁護士との顧問契約は無効とした判決

弁護士法72条は報酬を得る目的で弁護士でない者が法律事務を取り扱うことを禁止しています。

最近の事例では、弁護士ではない会社が顧問契約を締結して、顧問料・相談料名目で弁護士報酬に匹敵する高額な金員を支払わせていた事例の裁判があります。

東京地裁は、この顧問契約は「弁護士法72条本文に違反する事項を目的とする契約として民法90条により無効であり、顧問契約に基づいて受領した金員は全て不当利得になる」と判断し、金員の返還を命じています(東京地裁平成27年1月19日判決)。

このような顧問契約には注意が必要です。

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大阪市の配置転換が違法とされた判決

大阪市の職員に対する入れ墨調査が大きく報道されたことがありましたよね。

大阪市の市交通局の職員が入れ墨調査を拒否したことを原因に懲戒処分を受けた事例があります。その懲戒処分を受けたが、処分の取消請求訴訟を提起したところ、今度は、不当に配置転換されたとして、配置転換の取消を求めた訴訟まであります。

市バスの運転手だった原告は、上司に入れ墨がないことを確認してもらったうえで、入れ墨調査の回答用紙を提出せず、市交通局長から戒告処分を受けたとのことです。

その後、原告は、懲戒処分取り消しなどを求めて大阪地裁に提訴した後、局長から取り下げを求められて、これを拒否すると、内勤の運輸課に配転されたとのことです。

大阪地裁は、原告の主張の通り、配転を違法として取り消し、大阪市に慰謝料など110万円の支払いを命じていたが、大阪市は控訴しました。

大阪高裁は、「公務を遂行するうえで、配転の必要はなかった」と指摘しました。そして、「裁判を受ける権利を侵害する意図があった」と認めたうえで、「提訴への対抗措置で、市側に裁量権の逸脱、乱用があり、違法」と述べ、配転を違法と認めた1審・大阪地裁判決を支持し、市の控訴を棄却しました。

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最高裁・冠婚葬祭の高額解約手数料は無効

最高裁・冠婚葬祭の高額解約手数料は無効

将来の葬儀や結婚式に備え分割で費用を積み立てる、冠婚葬祭大手「セレマ」の互助契約を巡り、会員が積み立てを中途解約する際に多額の手数料を徴収する条項が有効かが争われた訴訟がありました。

平成27年1月20日付けで最高裁は上告を受理しない決定をし、これにより条項を「無効」(消費者契約法違反)として手数料返還を命じた1、2審判決が確定したとのことです。

この裁判はざっくりいうと、「契約月数×74.27円」を超える解約手数料を取るのはダメですよ、と判示したものと理解されているようです。

セレマが採用している約款は、社団法人全日本冠婚葬祭互助協会の標準約款に基づいており、同協会には約240社が加盟していることから、業界への大きな影響が予想されます。

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公正証書遺言が無効とされた事例

被相続人(元医者)は、昭和55年4月25日付けで「全財産を妻に相続させる」という自筆証書遺言を書き残していたが、その後、平成19年3月2日付けで「全財産を妹に相続させる」という「公正証書遺言」を作成した。

妻は平成19年4月21日に死亡し(79歳)、被相続人は平成19年8月27日に死亡した(82歳)。
その後、被相続人の相続人らの間で、上記公正証書遺言が有効であったかどうかについて裁判に発展した。

裁判所は、
①被相続人はうつ病、認知症を患っており、公正証書遺言が作成された直近の時期には、大声独言、幻視幻聴、妄想などの問題行動が見られ、情緒不安定、易怒性などから複数の薬剤が投与されていたこと
②被相続人は平成19年2月14日に転院しているが、この転院は妹の一存で行われ、また、被相続人の住所も妹の住所に変更され、しかも、妹がその住所で被相続人の印鑑登録まで行い、その上で公正証書遺言の作成に必要な印鑑証明書の発行をしていること
③公証人による作成手続きを見ても、遺言書の作成は妹からの申し出によりなされたものであり、被相続人の住所の確認が不十分であり、作成にあたっては妹の立ち会いを排除せず、署名は公証人の代筆であるが本人に署名させるように試みていないし、被相続人の視力障害にも気づいていないことなどの疑問があること
④公正証書遺言作成当時、未だ妻は生存中であるが、それにも関わらず、全財産を妹に相続させる旨の公正証書遺言を作成する合理的な理由が見当たらないこと
などから、本件公正証書遺言は遺言能力を欠いた状態で作成されたものであり無効である、と判決しました。

@東京高裁平成25年3月6日判決(判時2193号12頁)

(コメント)
本件は、公正証書遺言作成当時、入院していたこともあって、被相続人の症状がカルテなどに記載されていたこと、が大きなポイントであったと思います。また、公正証書作成の経緯として、住民票が妹の所に移動され、その住所地で新たに実印登録がなされて印鑑証明書が発行されている、そしてその印鑑証明書を使って公正証書遺言が作成された、という不自然な経緯があったのも裁判官の判断に大きな影響を与えたと思われます。
ちなみに、この事件では、第一審では公正証書遺言は有効とされましたが、高裁において無効と判決をしたものでした。

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