名古屋・岐阜・岡崎の弁護士が 無罪について法律相談

意識を失った運転手に無罪判決

タクシーを運転中に持病の薬の副作用で意識を失って、歩道の男性をはねて重傷を負わせた事件です。被告は71歳のタクシー運転手で、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)の刑事裁判です。

被告は、福岡市をタクシーで時速約30キロで走行中に意識を喪失し、男性をはね骨盤骨折などの重傷を負わせたました。

裁判では、被告がめまいを覚えてから意識喪失までに運転を中止できたかどうかが問題となりました。

検察側は「意識を失うまでに数秒あり、十分な時間があった」と主張していた。

裁判所は、ドライブレコーダーの記録などから「頭が熱くなり、そのまま気を失った」という被告の供述の信用性を認めたうえで、「体調の異変から気を失うまでの間は一瞬」として、あわせて、これまでに薬による意識障害もなく、予見可能性も認めなかったことから、運転中止は困難だったと判断し無罪判決を言い渡しました。

過去の病状認識が問題になりますね。

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信号機の不備で無罪となった事例

先日、自動車運転過失傷害罪の刑事裁判において信号機の不備を理由に無罪判決を下した事例があります。

被告は、南北の道路から東と南東方向にそれぞれ枝分かれする変形交差点で大型トラックを北向きに運転し、南東に右折したようです。被害に遭った男性の軽貨物乗用車は西向きから南に左折し、出合い頭に衝突したという交通事故のようです。

事故当時、被告側の信号は青、男性側は赤でしたが、左折可能の矢印が表示されていたとのことです。同様の表示が7秒間続く信号周期の信号機とのことです。

裁判所は、検察側の「右折直前に進行方向を見て安全を確認する義務がある」との主張について、右折する車の運転手は、東から左折する車の対面信号は赤と考え、左折してくるのを想定していないとして「信号周期に対する信頼を超えた自動車運転上の注意義務を課すのは相当でない」と判断しました。

また、南東の道路の存在が設定の際に見落とされていた可能性にも触れ「双方の走行を同時に可とする交通規制が相当ではないことは明らか」と不備を指摘しています。

最終的には、「信号機に交通整理の不備があり、事故当事者の刑事責任に転嫁するのは相当でない」と無罪を言い渡し、さらに「本件交差点の信号周期は速やかに改めるべきだ」と関係機関に早期の改善も促す異例の判決となりました。

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高所作業員の転落事故で現場責任者は無罪判決

高所作業員が転落死した事故について、安全帯を着用させなかった現場責任者に業務上過失致死罪が成立するか否かを判断した刑事裁判の判決がありました。

事件は、ビル屋上の防水工事中に男性作業員が約10メートルの高さから転落、頭を強く打ち、死亡したという事案です。

被告は転落防止義務を怠ったとして起訴されました。

裁判所は、被告が現場責任者だったとはいえ、元請けなどとの関係では従属的な立場にあったと認定しました。そして、安全帯を含む現場で使う資材は元請けが用意するもので、現場責任者が準備するものではなかったとして、現場責任者だった被告に無罪判決を言い渡しました

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交通事故「割り込み」が原因で運転手に無罪判決

多重衝突事故を起こしたとして、自動車運転過失致死傷罪に問われた元トラック運転手の男性に対する無罪判決がありました。

男性は、国道を大型トラックで走行中、隣の車線から入ってきた中型トラックを避けるため車線変更し、前方の乗用車に追突したとのことです。

 

乗用車は対向車線に飛び出し、別の車に衝突するなど計6台が絡む事故で1人を死なせ、3人に重軽傷を負わせたとして正式起訴されました。

裁判所は、「中型トラックの進路変更は道路交通法違反で、一般のドライバーが予期し得ない行為」と指摘し、「男性が驚いて車線を変えたことは、ごく自然な判断」と述べたうえで、「隣車線の車が進路変更の合図なしに前方に進入したのが事故の原因」と判断」「男性に過失はない」として、無罪判決を言い渡しています。

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令状なし捜査で東京地裁が激怒?

先日、東京地裁は、令状がないのに警察官が持ち物を捜索したのは違法だったとして、覚せい剤取締法違反などに問われた被告に無罪の判決を言い渡したとのことです。

判決によると、男性は、東京都新宿区で警視庁四谷署の警察官から職務質問を受け、警察官は捜索差し押さえ令状が出る前に、男性が乗っていた車内のウエットティッシュの箱を勝手に開け、抗議を受けても返さなかったとのことです。

男性の箱から覚醒剤などが見つかり、男性は現行犯逮捕され、起訴されました。

東京地裁は「警察官の令状主義への無理解は甚だしい。今後の違法捜査を抑制するために、無罪を言い渡すほかない」と指摘しています。報道によれば、裁判官はご立腹だったのでしょうね。

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勾留10か月後の無罪事件

コンビニで現金1万円を盗んだとして窃盗罪に問われ、大阪地裁岸和田支部判決で無罪を言い渡された男性の事件があります。

男性はは逮捕から10カ月も勾留されていました。男性は無罪判決後に、「警察と検察は一度でいいから謝ってほしい」とコメントしています。刑事事件を担当した弁護人は、無罪の決め手となった証拠を当初提出しなかった検察側の対応を「証拠隠しだ」と批判しています。

男性は、逮捕後に否認し、弁護人と相談して数日後から黙秘したようです。取り調べ担当の警察官には、可視化のため、取り調べ状況の録音・録画を求めたようですが、「お前にそんな権利あるか」と拒まれたと述べています。

色々と考えることが多い無罪事件です

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暴力団の身分隠しゴルフで最高裁は無罪判断と有罪判断 (高橋 寛)

 暴力団関係者の利用を禁止しているゴルフ場において、暴力団員が身分を隠してゴルフをしたとして詐欺に問われたいた事件で、最高裁判所の同じ裁判長が担当していた事件で、つい先日、無罪と有罪の結論が正反対の判断が出されました。

(A事件)
暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込む行為が詐欺罪にいう「人を欺く行為」に当たらないとして、最高裁が有罪の下級審判決を破棄し、自ら無罪の判決を言い渡しました。(平成26年3月28日最高裁判所第二小法廷判決)

(B事件)
 ところが、報道によりますと同じ最高裁第二小法廷は、別の暴力団関係者による身分隠しの詐欺事件では、被告人の上告を退け、高裁の有罪判決が確定することになりました。

(B事件の有罪理由)
B事件での最高裁は、暴力団関係者を同伴して一緒にプレーしたクラブ会員の男性が、ゴルフクラブへの入会審査の際「暴力団とは一切関係なく、暴力団関係者を同伴しない」とする誓約書に署名していた点を重視し、このようなケースでは、同伴者が暴力団関係者であるのにそのことを申告せず、利用を申し込むこと自体が「人を欺く行為」に当たると判断しています。

(A・B両事件は事例判断)
同じ最高裁第二小法廷で相次いで下された判断は、結論が正反対です。暴力団員がゴルフ場で身分を隠して利用の申し込みをした場合、具体的な事例ごとに判断が分かれることが、AB二つの事件で明らかになりました。
このような場合の最高裁の判断は、「事例判決」とか「事例判断」などと呼ばれます。これらの判断を参考にする場合は、判断の前提になった事実関係を比較する必要があります。

 

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無罪事件の起訴違法性の判断(木下敏秀)

強制わいせつ致傷罪で起訴された後、無罪が確定した事件で、被告人となった男性が「起訴は違法」として、国に1280万円の賠償を求めた訴訟の最高裁判決が出ました。

 被告人とされた男性は、路上で女性に抱きつきけがをさせたなどとして刑事事件として起訴されました。しかし、大阪地裁は、男性を犯人とする女性の供述の信用性を疑問視し、刑事事件としては無罪を言い渡し、確定もしました。

 男性が提起した民事事件については、1審の大阪地裁は「起訴時点では容疑があった」として請求を棄却しました。

 男性は、控訴し、2審の大阪高裁は、警察が女性に2度、複数枚の人物写真から容疑者を選ばせる際、男性のみ2度入っていた点を重視し、「誘導の作用が生じた可能性がある。女性は当時相当量の飲酒をしており、検察官は供述の信用性を冷静に判断すべきだった」と過失を認め、330万円の支払いを命じる逆転判決が出ました。

 これに対し、国は、上告し、最高裁の結論が注目されました。最高裁は、「女性は複数回、犯人を至近距離で見ており、容貌について早い段階で供述した。供述の信用性を認めた検察官の判断が合理性を欠くとは言えない」と結論づけ、起訴の違法性を否定し、再度の逆転判決になりました。

 大阪高裁が指摘するように「女性が相当量の飲酒をしていた」とすれば、最高裁の判断には疑問はありますね

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