名古屋・岐阜・岡崎の弁護士が 生前贈与について法律相談

生前贈与がブームです

相続税増税と生前贈与に対する贈与税特例の影響で生前贈与がブームになっているようです。

納税通信(第3430号)によれば、5年で4割も生前贈与が増えているとのことです。

生前贈与の方法として、住宅取得等資金贈与の非課税特例を利用する方法があります。

これは、住宅の新築や増改築の資金を子や孫に一括贈与したときに一定額が非課税になる制度です。

もともとは最大1000万円の非課税額でしたが、省エネ住宅を新築した場合の非課税額が拡大されています。

個々の非課税額は案件毎に違うので注意が必要になります。

また、信託銀行がアピールしていますが、教育資金の贈与信託、結婚育児資金の贈与信託も増えています。

教育資金の贈与信託は30歳未満の孫等に教育資金を贈与するときに1人当たり1500万円まで非課税になるものです。

既に1兆円も利用されているらしいです。

結婚育児資金の贈与信託は20歳以上50歳未満の子や孫等の贈与で一人当たり1000万円が上限(結婚資金は300万円)に非課税になります。

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相続時精算課税適用の養子は、縁組を解消しても適用が続きます。

贈与回数が無制限で、複数年にわたり親から贈与を受けても、特別控除額(限度額)2500万円までは贈与税の課税対象にされず、親が死亡の際に相続したものとして、相続税の対象とする制度が相続時精算課税制度です。

この制度を選択することができるのは、親が65歳以上で、子(子が亡くなっているときは孫を含む)が20歳以上の場合です。子の中には実子だけでなく、養子も含まれます。

限度額2500万円に達するまでは、同じ親から何回贈与を受けても、そのときは贈与税を課せられないので、若い世代は親の遺産を先取り活用することができます。限度額を超えた場合は、超えた部分だけがその年度の贈与税対象になります。

この制度の適用を受けるには、相続時精算課税選択届書を提出期限(原則として贈与の年の翌年3月15日)までに税務署へ提出する必要があります。

縁組を解消し、養子だった人が養親の推定相続人ではなくなった後も、制度の適用は続きます。養子縁組解消後に元の養親から何回贈与を受けても、そのトータルが2500万円に達するまでは、贈与税の課税対象とはされません。

なお、この制度を選択した後の贈与トータルが2500万円に届かず、贈与税の課税対象にならない場合でも、期限内に申告しておく必要があります。期限内の申告がない場合は、特別控除が適用されず、通常の贈与税に加算税や絵延滞税がかかることもありますから、注意しましょう。

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贈与を受けたのに相続とされる財産 (高橋 寛)

亡くなる前3年以内にもらった財産は、相続税の対象にされます。
3年以内前にもらった財産は、亡くなった日には、亡くなった人の財産ではないにもかかわらず、相続税がかかるのはなぜでしょうか。
この制度が設けられた理由は、駆け込み的な生前贈与によって、相続財産を減らして相続税を安くすることを防ぐためです。
亡くなる前3年以内であれば、贈与税がかかっていたかどうかに関係なく、年間110万円以下の贈与や死亡した年に贈与された財産も、すべて相続財産に加算して相続税がかかります。

その例外は、配偶者特別控除の特例を受ける贈与、直系尊属からの住宅取得資金非課税特例を受ける贈与、直系尊属からの教育資金非課税特例を受ける財産などです。

なお、亡くなる前3年以内に贈与を受けた財産の贈与税額は、加算された人の相続税を計算するとき、税額控除になります。
ですから、そもそも亡くなった人の遺産が、相続税の基礎控除額以内の場合は、この制度は何ら影響がありません。
この制度の影響を最も受けるのは、相続税を納付する人で、かつ、年間基礎控除額110万円以内の贈与を受けていた人と、亡くなった年に生前贈与を受けていた人です。

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特別受益について

特別受益とは、共同相続人の中に、被相続人から遺贈、又は婚姻、養子縁組もしくは生計の資本としての生前贈与(これらが特別受益といいます)を受けた者があるときは、、相続分の前払いがあったものとして、各相続人の具体的相続分を算定する、というものです。
たとえば、親が亡くなって相続人として子供2人(長男・次男)いるとします。遺産としては600万円あるが、長男は200万円の特別受益を受けていたとすると、長男と次男の具体的相続分としては、長男200万円(特別受益200万円とは別に)、次男400万円となる、というものです。

特別受益の種類には次のようなものがあります。
① 遺贈
遺言によって、遺言者の財産の一部を無償で譲渡する遺贈は、特別受益に当たります。
「相続させる」という文言での遺言でも同じです。
② 生前贈与
これが特別受益に当たるかどうかは、婚姻、養子縁組、生計の資本としての贈与など遺産の前渡しとみられるかどうかで判断します。
生計の資本としての贈与とは、たとえば、居住用不動産の贈与やその取得のための金銭の贈与、営業資金の贈与、高等教育の学資など生計の基礎として役立つような財産上の給付をいいます。具体的には、贈与金額の多寡、贈与の趣旨などから判断します。
もっとも、高等教育の「学資」については、親子の場合、特別に多額なものでない限りは、親の扶養義務の履行としての支出とみて、特別受益には当たらないと判断されることが多いでしょう。
また、「贈与」とあることから、被相続人から贈与がなされたことが必要であり、相続人が無断で被相続人の財産を費消したような場合は特別受益とは言えません。
他方、純粋な贈与と言えなくても、被相続人による「財産の無償提供」であれば、遺産の前渡しと見られれば、特別受益となります。たとえば、債務免除や次に述べる不動産の無償使用なども特別受益と評価されることがあります。

では、特別受益とされるかがよく問題になるものをご紹介しましょう。
① 不動産の無償使用
たとえば、被相続人所有の「土地」上に相続人が建物を所有し、無償で使用していれば、通常、使用借権の設定が特別受益と評価されます。
他方、「建物」の無償使用は、通常、恩恵的性格が強く、経済的価値も低いので、特別受益には当たらないと評価されるでしょう。
② 継続的な金銭援助
少額なものであれば、特別受益には当たりません。
ただ、毎回の金銭が少額であっても、それが相当長期間にわたり、その合計金額が多額になった場合は、特別受益とされる余地がありますが、ただ、そのような金銭援助が病気の子供に対する援助など扶養とみられる場合は、特別受益には当たらないとされるでしょう。
③ 生命保険金
生命保険金(死亡保険金)は、特別受益には当たりません。
ただし、保険金額が遺産総額の6割を越えるような場合は、特別受益に準じて処理されると言われています(東京家裁の実務)。

なお、被相続人が相続人の特別受益について持戻し免除の意思表示をしたときは、それに従うとなっています(つまり特別受益は考慮されません)。
また、特別受益の評価基準時は、「相続開始時」となっています。

@判例タイムズ第1376号56頁(参考文献)

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相続時精算課税制度

「相続時精算課税制度」ってご存知ですか。
これは、65歳以上の親から20歳以上の子どもへの贈与について贈与の回数に制限なく2500万円までは贈与税はかからない制度です。それを超える部分の金額に対しては一律20%の贈与税がかかります。
そして、贈与した親の相続時(死亡時)に、贈与財産を相続財産として持ち戻し(加算)して相続税額を計算し、相続税が課税されるというものです。その際、(2500万円を超える贈与があったため)納めた贈与税があれば相続税額から控除されますし、控除しきれないときは還付を受けることもできます。
この制度を利用するには税務署に対する届出が必要です。
@納税通信(第3249号)参照

とにかく今すぐにでも、親が子供にまとまった資金を援助する必要があるときにこの制度が利用できないか検討することがあります。ご存知ない方が結構おられますが、知っておくと役に立つことがあるかもしれません。

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安定した事業継承のために

社長 私もそろそろ年なので、会社を長男に継がせたいと思うのだが、いい方法はあるかね?

太郎 よく相談に見えましたね。何もしないで万一のことがあると大変ですよ。

社長 どう大変なんだね?

太郎 社長のところは、奥さんとご長男さんの他に相続人はどなたでしたっけ?

社長
 二男も会社を手伝っているし、常務の肩書きをつけてある。あと、結婚した長女と二女がいるが。

太郎 株主はどうなってますか?

社長
 全部私が出資したが名義は、私が80%で長男に20%分けてある。

太郎 そうすると社長に万一のことがあって法定相続分で相続すると、奥さんが40%、長男が30%、二男・長女・二女がそれぞれ10%となりますね。
皆さんが仲良く話し合ってくれればいいですが、揉めだすと誰も過半数を持っていませんから、会社経営に支障をきたし、従業員の生活にも影響がでかねません。
社長のところは別でしょうが、会社がらみで親族で揉めだすと骨肉の争いになりかねませんよ。

社長 それは困るね。どうすればいいかね?

太郎 長男さんを後継者にするご予定なら、社長が元気なうちに親族のほか、社員や取引先に長男が後継者であることの理解をしてもらっておくことが第1でしょう。

社長 専務にしてあるし、取引先や銀行には連れまわしている。

太郎 そうすると次に株式や個人資産のうち会社で使っているものなどを長男さんに集中させておく方が好ましいですが、遺留分なんかにも注意して、生前贈与するのか遺言で相続させるのか、税金にも注意して決めておく必要がありますね。
暦年課税制度や相続時清算課税制度などがありますから資産状況に応じて、どちらを選択するか考えたほうがいいですね。

社長 その他には何か考えておくことはないかね。

太郎 株式は一旦分散すると集めるのは大変ですので、とにかく分散しない方法を考えておいたほうがいいですね。
例えば、会社法の改正により株主の相続人に対して会社から売渡請求ができるようになったので、それができるように定款変更をしておいた方がいいかもしれません。
社長は80%の株式を持っているので、1人で3分の2以上の株式を持っているわけですから今なら大概のこ
とは社長1人の意思でできますよ。

社長 他には?

太郎 社長の資産状況にもよりますが、長男さんに集中させると他の親族から不満が出るかもしれません。種類株式を発行して、他の相続人には会社運営に支障のない株式を相続させるとか。

社長 種類株式とは何だね?

太郎 会社は1種類の株式だけでなくいろいろな種類の株式が発行できるのですが、例えば議決権はないが配当を多くもらえる種類の株式を発行して嫁いだ娘さんに相続させたりすると、娘さん方は会社経営にそもそも興味はないでしょうから議決権がなくても文句はないでしょうし、配当を多くもらえるので生活の足しにでき、満足されるとか、拒否権条項をつけた株式を発行して二男さんに相続させ、長男さんが暴走したときは止められるようにするとか、種類株式は9種類くらいあったと思うのでいろいろバリエーションを考えてもいいと思います。

社長 なるほど。いろいろ考えておかないといけないことがあるんだね。

太郎 社長は親族に後継者がおられるからいいですが、親族に後継者がいない場合は、従業員などへ事業を承継しようとするとまたいろいろ考えないといけませんし、後継者がいないようなら、M&Aなども視野にいれないといけない場合もありますね。

社長 M&Aはよく聞くが、どういう意味かね。

太郎 「合併(merger)」と「買収(acquisitions)」の英語の頭文字を取ったものですが、後継者候補がいなくても従業員の生活は守ってやらないといけませんし、長年付き合いのあった取引先の仕事のことも考えないと無責任ですよね。会社も社会的に存在するものですから放り投げるわけにはいきません。

社長 そりゃそうだ。経営者としては、会社は形を変えてでも残って欲しいと思うからね。

太郎 いずれにしても、経営者の元気なうちにどういう承継の方法がいいのか、専門家に相談してその会社に合った承継の方法を早めに考えておくべきでしょう。

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