名古屋・岐阜・岡崎の弁護士が 認知症について法律相談

免許更新時の認知機能検査

改正道路交通法が本年6月に成立し、来年(2017年)3月から施行されます。

いくつかの改正点の中に、運転免許を更新するとき75歳以上の人は、認知機能検査を受けて、記憶力や判断力が乏しいと判定された場合は、専門医師の診断を受けることが義務づけられた点が含まれています。

診察の結果、認知症が発症していれば、運転免許は取消し又は停止されます。

高齢者による死亡事故の増加に歯止めをかけるための法律改正です。

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認知症保険の加入者が増加

認知症保険の加入者が増加
最近、認知症になって要介護状態になった時に保険金を受け取れるという認知症保険に加入する方が増えているそうです。
また会社が福利厚生目的で従業員の親が認知症になった時に従業員に保険金が出る保険に加入する例もあるそうです。
最近、急激に後見人が増えている世相を反映して認知症を意識する方々が急激に増えているようです。
なお保険金請求は家族がすることになるので保険に加入したことを家族に伝えておくことが重要です。

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認知症事故の家族の責任 その2

川口弁護士の意見に対する意見です。

この判決の意義は、①精神保健法上の保護者や後見人や夫婦の相互扶助義務等から、
直ちに「法律上の監督責任者」とはならないとしたこと(おそらく病院や施設に
限られてくると思います)、②介護の引き受け方次第では「法定の監督責任者に
準じる者」として責任を負う場合があるとしていることだと思います。

後者の読み方次第では介護に手厚いほど責任が生じるということになるのかもしれません。

本件でも長男さん以外の子らは被告にすらされていないので、介護に頑張らなかった子ら
は責任を問われないということは言えそうです。

しかし、本件の長男さんはかなり頑張って介護をされています。
それでも多数意見は「法定の監督責任者に準じる者にあたるということはできない」と
判断しました。
他方で、判決には補足意見が3つついていますが、そのうち2人は、長男さんは
頑張って介護をしたから「第三者に対する加害防止も引き受けた」特段の事情が
あるとして、「法定の監督責任者に準じる者」に該当するとしつつ、頑張って
介護をしていたので「その義務を怠らなったとき」に該当するとして免責すべき
だとしています。

長男さんの同一の行為について、多数意見は「監督責任者にあたらない」ので責任を
負わないといい、補足意見は「監督責任者にあたるけど、監督義務を怠っていない」
ので責任を負わないとしています。監督責任者に準じる者にあたるか否かの判断を
介護の実態から判断するとする以上、多数意見が監督責任者にあたると考えるような
ケースが想定されるとしても、そのようなケースは概ねその義務を怠っていない場合
ということになりそうな気がします。

人一倍の親孝行者は責任を負わないとした判決だと読みたいと思います。
認知症の問題は社会で対応していくべきで、個人的責任を問うべきではない
とまで言ってくれればもっとよかったですが。

  

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<最高裁>認知症事故の家族の責任否定

<最高裁>認知症事故の家族の責任否定

認知症の男性患者が徘徊中に電車にはねられ死亡した事故をめぐり、家族が鉄道会社への賠償責任を負うかどうかが争われた訴訟で、最高裁は、家族に責任がないとして鉄道会社の賠償請求を棄却した、という。

世論はこの最高裁判決を好意的に見ているようですが、しかし、最高裁は次のようにも述べています。

「認知症患者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けて監督を現に行い監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,賠償責任を負う」

つまり、認知症患者が他者へ損害を加えることを防止することまでも含めて介護を引き受けた人一倍の親孝行者については、賠償責任を負う可能性がある、と言うことです。介護を頑張れば頑張るほど、責任も増す、ということになります。

この最高裁判決を読んで、次のことを思い出しました。
ある介護施設長さんは言っていました。
入居者のリハビリを本当に頑張って要介護度が改善すると、国からいただけるお金が減って経営がきつくなる、他方、リハビリをせずに入居者をほったらかしにして入居者の要介護度が進行すれば、たくさん国からお金をいただけて経営が良くなる。
つまり、介護施設は、入居者の能力回復をするように努力しない方が、経営上は助かるのです、寝たきりのまま放置するのが一番金になる、おかしくないか、と。

親への介護、介護施設による介護、頑張る人が報われない世の中になっていないだろうか。法律に不備はないだろうか。
そんなことを改めて考えさせられた最高裁判決でした。

@最高裁平成28年3月1日判決

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認知症の行方不明者は1万人も

今朝(7月4日)のHNK報道によると、認知症のため行方不明になる人が、年間で約1万人に達しているそうです。 その一方、徘徊中に保護されて、身元が分からないまま自治体の施設などで生活している人もおられます。

残された家族は、「うちのおじいちゃんは、きっと保護されてどこかの施設で暮らしているに違いない。」と、一縷の望みを抱き、新聞の保護者情報記事や自治体に問い合わせるなど、行方の分からない肉親を探し続けています。

しかし、どの自治体が身元不明者を何人保護しているか、という情報を公開する制度は整っていません。 また、施設に保護されている人がいる自治体に、家族から行方不明者の名前・年齢・身体的特徴・家を出た時の服装などを記載して問い合わせても、多くの自治体は、個人情報保護法に触れるとして、本人の顔写真は公開しない取扱いをしています。

そのため、親族の懸命な肉親探しは、なかなか実を結ばない現実をNHKが報じていました。

厚生労働省も、認知症の人が増えるなかでの異常事態が進行している現実を受け止め、関係機関の連携の在り方を見直す必要があります。

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認知症徘徊事故と介護者の責任

2007年、認知症の男性(91)は、妻がまどろんだ数分の間に自宅を抜け出し、徘徊中に列車にはねられて死亡しました。

JR東海は、列車事故に伴う運行ダイヤの乱れなどの損害賠償金として、男性と同居し日常介護に当たっていた妻と、同居はしていないが介護に協力していた息子夫婦を相手取り、720万円の請求訴訟を起こしていました。

2013年8月9日、一審の名古屋地裁は、妻と息子に対し、介護者としての監督義務を怠ったとして、720万円の支払いを命じる判決をしました。妻と息子は控訴。

2014年4月24日、二審の名古屋高裁は、介護に直接当たっていた妻に360万円の支払いを命じ、息子には支払いを命じない判決をしました。JR東海は、5月8日上告。

認知症の人が徘徊中に起こした事故の損害賠償は、監督義務を怠った介護者が負うことになりますが、この度の二審判決によると、監督義務は介護への関与が深いほど重くなるようです。上告審での判断が注目されます。

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認知症高齢者の鉄道事故

愛知県の共和駅構内で認知症の高齢者男性が線路に入ってしまい、列車と衝突し死亡した事件で、昨年8月、JR東海の損害約720万円全額を、死亡した男性の妻と長男に賠償することを命じた判決がありました。
かなり非常識な判決だと思いましたが、昨日高裁で和解の勧告があったとのこと。

報道によれば認知症の方の踏み切り等での死亡事故は年間15件ほどあるそうです。
リニアもいいですが、鉄道会社には容易に線路に人が入れないような設備の整備が先ではないかと言いたいものです。

澤 健二

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