名古屋・岐阜・岡崎の弁護士が 遺産分割について法律相談

死後認知された婚外子の遺産に関する支払請求

父の死後、認知によって相続人となった子が他の相続人に遺産の支払請求をしたところ、遺産の評価時期をいつにするかが争われた事件で、2月26日に最高裁の判決がありました。

遺産の総額が、相続人らが遺産分割をしたころの評価が約17億円、認知により相続人になった子が支払請求をしたころの評価が約8億円、この裁判の1審弁論終結時のころの評価が約10億円と大きく上下したことから何時の時点での評価に基づいて支払額を決めるかが争いになったようです。

最高裁は、支払請求をした時を基準とするとの判断をし、このケースでは一番低い額の時期になってしまいました。珍しい事件ですが、請求する時は土地等の相場も気にして請求する必要がありそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160227-00000095-san-soci

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非嫡出子の相続分と実務の取り扱い

非嫡出子の相続分と実務の取り扱い

これまで、非嫡出子の相続分は嫡出子と比べて2分の1となる相続格差規定がありましたが、平成25年9月4日に最高裁によってこの規定が違憲であるとの判決が出ました。
その後、同年12月11日には法改正が施行され、法律上、非嫡出子と嫡出子の相続分は等しいものとなりました(相続格差規定の撤廃)。

今後の実務の取り扱いは次のとおりとされています。

①平成13年6月以前に相続が開始した場合
旧法のとおり、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1

②平成13年7月から平成25年9月4日までに相続が開始した場合
すでに遺産分割協議等によって確定したものについては影響はない。まだ、未確定(未分割)の場合は、非嫡出子と嫡出子の相続分は等しいものとして扱われる。

③平成25年9月5日から平成25年12月10日までに相続が開始した場合
すでに遺産分割協議等によって確定していたとしても再度分割協議をやり直せる。まだ、未確定(未分割)の場合は、非嫡出子と嫡出子の相続分は等しいものとして扱われる。

④平成25年12月11日以降に相続が開始した場合
非嫡出子と嫡出子の相続分は等しいものとして扱われる。仮に、非嫡出子に不利益な遺産分割をしたとしても再度分割協議をやり直すことはできない(法改正を知らなかったとの言い訳は認められない)。

@愛知県弁護士会研修センター運営委員会・家族法研究(VOL7)

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相続放棄しても生命保険金は受け取れるの? (高橋 寛)

 Aさんは、自分を被保険者、死亡保険金受取人を妻Bさんとする生命保険を契約していましたが、自宅の土地・建物を抵当に入れた負債を残して亡くなりました。
Bさんは、夫の遺産には抵当権がついている自宅不動産の他に目ぼしい財産が無く、相続放棄を考えています。しかし、相続放棄をすると死亡保険金を受け取れないのではと心配しておられます。

 この場合は、契約者と被保険者が同じ人ですから、死亡保険金はAさんの相続財産ではなく、Bさんの固有財産になります。そのため、Bさんは相続放棄しても、Aさんが契約していた死亡保険金を受け取ることができます。
 この死亡保険金は、被相続人をAさんとする遺産分割の対象になりませんから、他の相続人に分ける必要もありません。

 なお、この場合の死亡保険金は相続税法の上では「みなし相続財産」に当たるので、受け取った保険金の金額によっては期限内に申告する必要があります。保険金が相続税の基礎控除額の範囲内であれば、相続税はかかりません。

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遺産から生じた果実

遺産から生じた果実

被相続人の遺産として不動産(貸し出している土地など)がある場合、そこから賃料が発生していることがあります。こうした遺産から生み出される賃料などを法律用語で「果実」と呼びます。

相続人が数人ある場合に、相続開始から遺産分割までの間に遺産(土地など)から果実(賃料)が生じた場合、その果実(賃料)は誰に帰属するかという議論があります。

判例は、遺産(土地など)は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するので、その間に生じた果実(賃料)は、遺産分割の対象とはならず、各相続人がその相続分に応じて確定的に取得する、としています。その上で、その遺産(土地)をある相続人が遺産分割によって取得することになっても、賃料(果実)の帰属は、この遺産(土地)の遺産分割によって影響を受けない、としています(最高裁平成17年9月8日判決)。

これをざっくり説明すると、被相続人(父)の相続人として長男と次男だけがいるとします。
父には貸し出している土地がありました。この土地は、当然、遺産分割の対象になりますので、遺産分割が整うまでは、長男と次男のどちらが取得することになるかが決まらず、共有状態となります。
他方、この土地から生じている賃料は、遺産分割の対象とはならず、当然に、長男と次男がそれぞれ2分の1を取得することに確定します。
このことは、後で、遺産分割によって土地を長男がすべて取得することになっても、結論に変わりはない(相続開始時から遺産分割時までの賃料の2分の1を次男が取得することに変わりはない)、ということです。

そのため、収益不動産の遺産分割をするときは、相続開始後から遺産分割時までに生じた賃料をどうするかも話し合っておく必要があります。

@家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務(参考文献)

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遺言、死因贈与の撤回

遺言はいつでも取消、撤回が可能です。死亡することによって贈与の効力を発生させる死因贈与も取消、撤回が可能です。

死因贈与を受けた方としては、撤回されないように工夫したいところでしょうね。死因贈与の仮登記をすると事実上の取消を否定する方向に働くとの意見もあります。また、老夫婦の世話をするなどの負担を条件とした負担付死因贈与の場合には、負担が履行された場合、原則として取消できません。

このような工夫も検討の余地があるでしょうね。

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遺産の一部の分割(木下敏秀)

遺産の種類が多く、調査するのに時間が必要な場合や一部の財産について遺産か否かが争われている場合に、先に遺産の一部を協議による遺産分割をすることがあります。

 遺産の一部分割が有効かは法律上の議論もありますが、協議による遺産分割では有効であると解釈されています。

 ただし、後に予定される残りの遺産分割で一部分割した結果を反映させるのかという問題が紛争になりますので、反映させるか否かを予め分割協議書に明記することが望ましいです

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相続資格が重なることがあります(木下敏秀)

祖父母が名字を継ぐ者を希望するなどの理由から、母方の祖父母の養子となる人がいます。その際、母が先に死亡し、その後、祖父が死亡すると、養子としての相続分と亡母の実子としての相続分が重なることがあります。

相続分としては、どちらか一方のみなのか、合算していいのかが議論されていますが、現在の実務では、「両方の合算」を認めています。

例としては少ないですが、気をつけないと相続分を間違えることになりますね。

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寄与分の成立要件

寄与分とは、共同相続人中に、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があれば、法定相続分よりもその寄与分に応じて、より多く遺産を相続できる、というものです。
寄与分とは法定相続分を修正するものの一つです。

そして、寄与分の種類には、家業に従事したもの、扶養をしたもの、金銭出資をしたもの、療養看護をしたもの、などがあります。
よく裁判で主張されるのは、「私は、被相続人の面倒をずっと看てきた、だから法定相続分以上の遺産を取得したい」というものですね。
その気持ちはよく分かります。高齢者の面倒を看るということは本当に大変なことですから。

では、寄与分が認められるための要件とはどのようなものでしょうか。
寄与分が認められるための成立要件は次のとおりとなっています。
① 特別な寄与であること
② 被相続人の生存中における相続人自身の行為であること
③ 無償性(無償による行為であること)
④ 因果関係(被相続人の財産の維持・増加との因果関係があること)

すこし詳しく説明すると、
まず、「特別な寄与」ですが、これは、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待される程度を大きく越える貢献でなければいけない、ということです。
次に、「被相続人の生存中における相続人自身の行為であること」について補足すると、相続人と同一視できる者による行為であっても良いとされています。たとえば、相続人の配偶者が寄与行為をしたような場合です。また、寄与行為は、被相続人の生存中でないといけないので、被相続人が亡くなった後の行為(遺産の管理行為など)では駄目です。
また、「無償性」についてですが、寄与行為が給与など報酬を受け取っていたような場合は、寄与があったとは評価されない、ということです。ただ、報酬を受け取っていても、それがわずかで無償に近ければこの要件は満たすとされます。もっとも、寄与行為があっても、被相続人の収入で生活していたり、被相続人の家屋や土地を無償で使用していたりしている場合は、無償性がないとされる要因となります。わかりやすく言うと、被相続人所有の家で同居をしている相続人が家事の援助をしたに過ぎないのであれば寄与分は認められにくい、ということですね。
更に、「因果関係」についてですが、寄与行為が被相続人の財産の維持(債務負担を免れたときもこれに当たります)又は増加につながった行為のみが寄与行為と評価される、ということです。

寄与分を裁判所に認めてもらおうとすれば、これらの要件をすべて満たすことを証明する必要があります。
こうしてみると、なかなかハードルが高いことが分かります。
こうしたことは、一方では、「親(被相続人)の面倒を看た者が損をする」との声があり、他方では、寄与分の成立要件を緩やかにしてしまうと「遺産目当てのために親(被相続人)を囲い込むような行為を助長する」という声もあります。

なかなか悩ましい問題ですが、現状においては、やはり、こうした問題をクリアするためには、被相続人自身が「遺言」を書き残しておき、孝養を尽くしてくれた相続人には手厚い遺産を与えるなどの手当をして、また、被相続人自身が決断したということによって、すべての相続人を納得させることがもっとも円満な遺産相続をさせる方法だろうと思います。

@参考文献(判タ第1376号56頁、家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務)

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