名古屋・岐阜・岡崎の弁護士が 養育費について法律相談

養育費の不払い問題に朗報になるかも

新聞報道によれば、裁判などで確定した養育費や賠償金の不払いが横行していることから、法務省は、預貯金口座を裁判所を通じて特定できる新制度を導入する方針を固めたとのことです。

現在では、預金口座を差し押さえる場合には、相手方の金融機関のみならず「支店名」まで特定しないと原則的に差押えができません。ハードルが高いため、強制執行を断念することも少なくありません。

養育費の支払いが全体の2割程度との調査結果もあるようですが、このような強制執行の困難さも背景にありそうです。

新制度が養育費不払いの問題の解決の一助となることを期待したいです

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養育費は増減します(木下敏秀)

離婚事件を担当して実感するのは、養育費は成人まで定額であると思っている方が多いことです。

養育費は、当事者の状況で増減します。
事情としては、
1 父母の再婚、それによる新たな子の誕生
2 父母の職業の変更(失業など)と収入の変化
3 病気
4 子の成長や就職
5 社会情勢、経済情勢
などが主たる事情になります。

増減の協議が成立しない場合には、調停、審判によって家庭裁判所で決めることが多いでしょうね。

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無職の元夫の養育費(木下敏秀)

養育費は原則として実収入を基礎として算定します。無職の元夫の場合には、「ゼロ」として算定されることになります。

ただし、稼働能力があるのに収入を「ゼロ」として算定するのは不相当ですから、厚生労働省が策定した統計資料である賃金センサスなどを利用して、収入を推計して養育費を算定するケースもあります。

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協議離婚時と養育費・面会交流の合意(戸田裕三)

2012年4月から2013年3月までの間に子供のいる夫婦で協議離婚した数は13万1254件あったそうです。そのうち養育費の取り決めがあったのは、7万3002件で全体の56%、面会交流の取り決めがあったのは7万2770件で全体の55%だったそうです(離婚届出書のチェック欄のチェック数)。もちろん離婚後でも養育費や面会交流の取り決めは可能ですから、とりあえず離婚だけを早急にして、その後にじっくり子供の養育費や面会交流について話し合うと言うことも可能です。養育費や面会交流の話し合いは、自分たちだけでできなければ家庭裁判所で調停委員を交えて調停を行うことができますので諦めずに調停の申立をご検討ください。

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養育費を払わせるための法律改正等

「強制執行をやりやすく」

(問題点)
長期間に渡る裁判を争い、やっと、裁判所の判決をもらって、「いざ強制執行」となったら、「事件解決」と思うのが一般の感覚です(テレビドラマではそうですね)。

しかし、この強制執行が非常に困難となることは度々あります。

特に、強制執行の対象となる相手方の財産が不明である場合は大変困難です。

ちなみに、離婚の際の養育費についての、厚生労働省の調査では、実際に養育費をもらっているのは全体の20パーセントに過ぎないとの報告があります。

これも、現行法上、強制執行が困難であることと無関係ではないと思われます。

(法改正の肉容)
従前では、物の引渡債務の強制執行は「直接強制」(執行官が物に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法)しか出来ませんでした。

しかし、法改正により、「間接強制」(一定期間内に履行しないときは、裁判所が直ちに一定額の金銭を債権者に支払うことを命じ、間接的に債務履行を促す方法)
(例えば、期間内の履行命令に違反した場合には、一日当たり○○円支払えと命じます)も選択できるようになりました。

強制執行方法のメニューを増やし、強制執行の実効性を上げようということです。
また、強制執行の対象となる債務者財産を把握するため「財産開示手続」を創設しています。財産開示手続の申立があった場合は、債務者は、財産開示の期日に出頭し、宣誓した上で、自己の財産状況について開示しなければなりません(非公開手続きです)。

債務者が正当な理由なく出頭しなかったり、虚偽の陳述をした場合には罰則があります。
なお、逆に、債権者が債務者の財産に関する情報を目的外に使用した場合にも罰則があります。

これにより、債務者は、債権者に就労先や収入、財産状況を偽ることは出来なくなります。

更に、養育費が滞納した場合には、滞納分の養育費のみならず、「将来分の養育」も含めて、将来の収入(給与などの継続的給付に係る債権)の差押が可能となります。

差押の上限も、現行法では、給与の「4分の1」しか差押出来ませんが、改正法では「2分の1」まで差押が可能です。

これにより法制度としては、養育費の履行確保が一歩進んだといえます。

「占有屋の妨害を許すな」

(問題点)
不動産執行の現場では、執行妨害をする「占有屋」の問題があります。
これは、不動産執行の現場に何の権利もないまま現場を占拠し、高額の「明渡料」等の金銭を要求するものです。

一般の感覚では、「不法占拠をなぜ排除できないのか」と単純に思いますが、簡単に排除できない理由が少なくとも3点はあったと思います。

第一には、従前の法制度では、「占有屋」を排除するための法律要件が厳しかったのです。

第二には、「占有屋」は次々と人を入れ替えるため(暴力団が日本語の通じない外国人を利用して、次々と人を入れ替えるケース等もあります)、裁判所の不動産明渡の命令が出ても、裁判所の命令の相手方は「A」だけど私は「Bだ」「人が違う」と言い張り、その理由から明渡執行が不可能となることもあったのです。

第三には、不動産の抵当権設定後に形だけの短期賃借権(不動産を一定期間利用できる権利です)を設定し、「占有屋」が賃借権を盾に占有を拒むこともありました。

このような不動産執行実務の不備から「占有屋」が横行したり、「明渡料」が暴力団の資金源になったことも事実です。

(法改正の内容)
まず、「占有屋」を排除するための民事執行法の要件を緩和しています。
その結果、裁判所が比較的容易に排除の命令を出せるようになりました。

また、「占有屋」が次々に人を入れ替えて、相手方が誰か分からないときは、「相手方を特定しなくてもよい」としています。

更に、悪用されることが多かった「短期賃借権制度」を廃止しています。
代替制度として、抵当権者の同意による賃借権制度を創設しています。
なお、保護すべき賃借人には合理的な範囲の保護として六ヵ月間の明渡猶予制度もあります。

これらの法改正により「占有屋」等の執行妨害行為がどの程度排除できるかはこれからの課題です。

以上の法改正は、平成16年4月1日から施行されています。

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