成年後見について

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

Q 成年後見制度とはどんな制度ですか。
A 判断能力が不十分な者を保護するため、一定の場合に本人の行為能力を制限するとともに本人のために法律行為をおこない、または本人による法律行為を助ける者を選任する制度です。
Q 後見人などを選ぶ場合、誰が選ぶのですか。
A 裁判所の審判によって選任する「法定後見」と、本人が判断能力が十分なうちに候補者と契約をしておく「任意後見」とがある。
Q 法定後見というのはどのような場合ですか。
A 法定後見は、本人の判断能力が不十分になった場合に家庭裁判所の審判により後見人などが選任されて開始する。
Q 全部について後見人が就くのですか。
A 本人の判断能力の程度に応じて後見、保佐、補助の3類型がある。
Q 後見人の不正行為が問題になっているけれど、後見人は勝手に財産などを使うことができる人ですか。
A 裁判所の監督のもとで行うことになっており、年に1回は裁判所に報告する義務がある。
Q 年の途中で不正がある場合には防ぐことはできないのかな。
A 裁判所は随時報告を求めることができるし、必要な場合には後見監督人を選任して、後見人の職務を監督させることもできる。
Q 後見人が就いた場合には、昔の禁治産者みたいに戸籍に載るのですか。
A いいえ、これについては批判が多く、成年後見の制度が設けられた理由にもなったんだ。後見人が選任されたことは戸籍には載らず、特別な登記がなされるようになった。この登記の証明書は一定の者しか取ることができないようになっていて、プライバシー保護が図られている。
Q 保佐というのはどのような場合になるのですか。
A 精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者を対象とする。
同様に保佐人が選ばれ、重要な財産行為について保佐人の同意が必要になる。また、申し立てによって、一定の場合には代理権が認められる。
Q 補助はどのような場合ですか。
A 精神上の障害により判断能力が不十分な者のうち、後見や保佐の程度に至らない軽度の状態にある者を対象とする。
Q どのような保護があるの。
A 同意権付与または代理権付与の審判がなされ、一定の場合には同意がないと取り消しができることになるし、補助人に代理して行為を行ってもらうこともできる。
Q 後見人や保佐人、補助人になるのは大変なことですか。
A 他人の財産を管理することになるので、不正のないように職務を行う必要がある。ただし、行う職務は本人の状態によって異なる。
Q 裁判所が後見人などを選任する際に、鑑定が行われ、その費用が高額になると聞いたけど。
A 申し立ての際に、主治医に作成してもらう診断書の書式があり、それに詳しく症状などを書いてもらうと、後見、保佐等がはっきりしている場合には、鑑定を行うことなく後見人などが選任されることがわりと多い。
Q 鑑定を行う場合の費用はどの程度になるの。
A 最近の運用は主治医にさらに詳しい項目について意見を書いてもらう形の鑑定が多く行われている。申し立ての際に主治医に書いてもらう書類に、鑑定を引き受けるか否か、引き受ける場合いくらくらいかかるか(3万円、5万円等)回答する欄がある。主治医が受ける場合にはだいたい3~5万円が多い。主治医以外の場合には10万円程度は覚悟する必要がある。
Q 後見人などの報酬はどうするの。
A 後見人などが職務の内容を家庭裁判所に報告して、報酬を決めてもらうように申し立てる。それを行わない場合には、原則無償となる。
Q 後見人などになる人がいない場合にはどうしたらいいの。
A まずは弁護士に相談してみることだ。弁護士がなる場合や、弁護士から他の機関を紹介する場合がある。

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