借金と相続税

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

Q 借金して土地や貴金属を買っておくと相続税が安くなるという話を聞きますが、本当ですか。
A ある面では本当です。土地・建物などは相続税を計算するとき時価よりも安い価格で評価(相続税評価)されますが、借金などの債務は相続開始時の残債務額で評価されるので、トータル的には資産総額が低くなるため、結果として総資産額から総債務額を差し引いた相続財産の価額が少なくなりますから、その分だけ相続税が安くなります。
Q では、できるだけ借金して不動産などを買っておいた方が得になりますね。
A そうとばかりは言い切れません。不動産を買うと不動産取得税や登記の際の登録免許税がかかる上、毎年の固定資産税も納めなければならなくなりますし、借金には利息が付きます。そもそも、相続税は遺族である相続人が相続財産に応じて払うものですが、あなたの残した借金もすべて相続人が受け継いで返済する義務があります。相続税だけ見ると安くなるかも知れませんが、遺族の負担は、相続税の安くなった部分より大きくなるおそれがありますから、うまい話に乗るのは慎重にしましょう。
Q もし、借金して土地などを買うことになった場合、その他に気をつけることがあれば教えてください。
A 預金や有価証券であれば遺産分割のとき配分が比較的簡単ですが、不動産などの固定資産の場合は分けることが難しいため、誰がその現物を相続するかで相続人間の協議が難航しかねません。相続をめぐる遺族間の紛争を防ぐには、あなたが元気なうちに、できれば公正証書による遺言をして、その財産を誰に相続させるかを明確にしておくとよいでしょう。

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旭合同法律事務所(名古屋)